※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【パリ(フランス)、文=増渕由気子】世界選手権で1勝するも、オリンピックの道は険しい-。世界選手権の男子フリースタイル86kg級は、初出場の松坂誠應(自衛隊)が初戦のインド選手を下して1勝を挙げたが、2回戦の2017年ジオルコウスキ国際大会優勝のジビングニュー・バラノウスキー(ポーランド)にラスト10秒で逆転負け。上位進出はならなかった。
2試合を通して先手を取っていたのは松阪だった。初戦のインド戦では相手の懐にもぐりこんでタックルが要所で決まって5-2で勝利した。だが、2回戦のバラノウスキーは、組手がうまく、タックルを繰り出すもテークダウンまでには至らず。
ただ、松阪が攻勢だった分、ラスト1分を残すところで、アクティビティーポイントで2-1とリードはしていた。
わずか1点のリード。攻め続けるか、この1点を守るべきなのか―。松坂には「相手もばてていたけど、自分も同じだった。守り切れるか分からなかった」と迷いが生じていた。刻々と時間だけがすぎ、追加点を奪う前に相手が最後の攻撃をしかけられ、足を取られてしまった。「外国人は、足を触ったら何が何でも取りに行こうという気持ちが強いんだなって思った。その差で負けてしまった」。
守るか攻めるか迷っていた松阪より、攻めないと負けるバラノウスの集中力が勝ってしまった格好だった。
松阪は日体大出身で、今年から自衛隊でレスリング競技に専念している。東京オリンピックまであと3年、「自衛隊で3年経験を積んで、26歳といい時期にオリンピックが来る」と、競技生活のピークをオリンピックに合わせられそうだが、「世界で勝たないと出られないので…」と現実的な課題も挙げた。
バラノウスも国際大会で優勝経験がある選手だったが、「できれば、2回戦は勝ってその次のアメリカの選手とやって経験を積みたかった」。初日以外、日本勢は連日、金メダルを獲得し、同期でグレコ75kg級に出場した大学の同期、屋比久翔平(ALSOK)もオリンピックチャンピオンと互角の戦いをした。
「僕も負けてられないって思いました。勝たないといけないという気持ちにはなっていた」と気持ちは作れたが、体がまだ追いついていなかった。
世界選手権の出場は初めてだが、昨年はリオデジャネイロオリンピックの予選で初めて公式のナショナルチームデビューを果たした。2014年、2015年はターゲット選手として世界選手権の開催地で行われた合宿に参加し、代表メンバーを視察する機会もあった。「世界選手権の雰囲気とかは、観ていてわかったけど、実際にやるのでは違った部分がありました。モンゴルのオリンピック予選も経験していたけど、今回の初戦はとても緊張してしまった」。
もともと重量級は厳しい闘いを強いられている。日本代表の松坂がオリンピックの権利を獲らなければ、日本の出場枠は獲得できない。「日本代表の自覚が出てきました。自分が世界で勝って決めなければ。5月のアジア選手権よりはいい試合ができたと思うが、1勝したところで、優勝なんて程遠い。これからもっと頑張ります」。