※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【パリ(フランス)】2017年世界選手権第5日は8月25日、フランス・パリで男子フリースタイル4階級が行われ、57kg級のアジア選手権王者、高橋侑希(ALSOK)が5試合を勝ち抜いて優勝した。61kg級の中村倫也(博報堂DYスポーツ)は3位決定戦で敗れて5位だった。
日本の男子フリースタイルの優勝は、1981年52kg級の朝倉利夫以来で、36年ぶりの快挙。オリンピックを含めれば2012年ロンドン大会の米満達弘(66kg級)以来の世界一となった。
今大会、日本は男子グレコローマンと女子でも優勝選手を輩出している。3スタイルで世界チャンピオンを出したのは初めて。男子両スタイルで優勝したのは、1970年にグレコローマン62kg級で藤本英男、フリースタイル57kg級で柳田英明が優勝して以来、47年ぶりだった。
高橋は2016年アジア選手権優勝のサンディープ・トーマス(インド)や2015年世界選手権3位のベクバヤール・エルデネバト(モンゴル)ら3選手を破って準決勝へ進み、リオデジャネイロ・オリンピック5位のウラジーミル・デュボフ(ブルガリア)をも破って決勝へ。世界一をかけて7月のスペイン・グランプリで優勝しているトーマス・ギルマン(米国)と対戦し、6-0で下して悲願を達成した。
2010年ユース・オリンピック優勝で国際大会デビューを果たした高橋は、2014年世界選手権で5位になったが、リオデジャネイロ・オリンピックの出場は逃した。3度目の世界選手権出場で、日本レスリング界の歴史に輝かしい名を刻んだ。
61kg級の中村は1回戦で欧州選手権3位のモルドバ選手を破ったが、2回戦で2015年世界選手権優勝のハジ・アリエフ(アゼルバイジャン)に黒星。敗者復活戦2試合を勝ち抜いて3位決定戦へ進んだあと、リオデジャネイロ・オリンピック57kg級5位のヨウリス・ボネロドリゲス(キューバ)にフォールで敗れ、メダルを逃した。
86kg級の松坂誠應(自衛隊)と125kg級の山本泰輝(拓大)は、ともに1回戦を勝ったものの、2回戦で敗れ、敗者復活戦に回れなかった。
日本はこの日、優勝、5位、10位の成績を残し、国別対抗得点で17点をマーク。イランなどを押さえてアジア最高の5位につけており、最終日に来年のワールドカップの出場権(8位以内)をかける。
各選手の成績は下記の通り。
【57kg級】高橋侑希(ALSOK) 優勝=29選手出場
決 勝 ○[6-0]Gilman, Thomas(米国)
《試合経過》開始23秒、相手が攻めてきたところをカウンターで場外へ。相手の場外逃避とみなされて高橋に2点が入る。さらに片足タックルで追加点。高橋は足を何度も触られながらも、鉄壁なディフェンスでバックポイントを許さず。終盤にも持ち上げタックルを決められそうになるが、体をうまくいれかえ、相手の態勢が崩れたところを抑え込んで2点。6-0と完勝して36年ぶりの男子フリースタイル世界王者となった。
準決勝 ○[7-2]Dubov, Vladimir(ブルガリア)
《試合経過》立ち上がりは高橋が攻勢で、アクティビティポイントで1点を先制するが、タイミングよく両足タックルに入られて2失点。だが、3分19秒にタックルで逆転し、さらに相手のアクティビティータイム中に、両足タックルも決めて追加点。終盤にはカウンター攻撃も決めた。
準々決勝 ○[4B-4]Erdenebat, Bekhbayar(モンゴル)
《試合経過》2年前の世界選手権準々決勝と同じ顔合わせ。その時は高橋が負けている。開始早々に高橋がバックを奪って2点。1分半すぎにも勢いよくアタックし、相手を場外へ。審判は場外逃避を獲って、2点コーションとなって追加点。第1ピリオドの終盤、モンゴルのアタックで場外に出てしまい1失点。第2ピリオド、アクティビティポイントを奪われ、さらに瞬間テークダウンを奪われて4-4と同点に追いつかれるが、ビックポイントの差で勝利した。
2回戦 ○[Tフォール、4:15=14-3]Tomar, Sandeep(インド)
《試合経過》開始早々インドのアタックを受けて高橋は場外に出てしまう。だが気を取り直して作り直し、1分すぎに片足タックルから2点を奪うが、第1ピリオドの終盤にカウンターからバックを取られてしまう。第2ピリオド、相手が前に出てきたところを交わしてスタンドで背後に回り込んでテークダウン。そこから5回連続でローリングを決めて大勝した。
1回戦 ○[Tフォール、4:43=14-4]Palani, Aso(カナダ)
《試合経過》開始直後から積極的に前に出て、タックルを何度も繰り出し、グラウンドに持ちこんでも、ニアフォールやローリングなどで加点。バックを取られたり、がぶり返しで失点したが、第2ピリオドに入るとディフェンスも安定し、スタンドからグラウンドのワンツー攻撃が決まって14-4でテクニカルフォールを決めた。
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【61kg級】中村倫也(博報堂DYスポーツ) 5位=31選手
3決戦 ●[フォール、2:35=0-10]Bonne Rodriguez, Yowlys(キューバ)
《試合経過》片足タックルで右足をつかまれた高橋は倒されないように必死に耐えるが、最終的にテイクダウンを奪われてしまう。キューバの選手はそのまま中村の右足と首を掴んで丸め込む要領でエビ固めへ。なんとかフォールを凌いだ中村だったが、そのつどキューバの選手はエビ固めを仕掛け直して点数を重ねていく。結局4度目のエビ固めでフォール負けを喫した。
敗復2 ○[Tフォール、1:00=10-0] Bolotnyuk, Nikolai(スロバキア)
《試合経過》激しく交錯する手さばきの中、中村は絶妙のタイミングで低い両足タックルを決め、テイクダウンに成功する。それからローリングを4回連続で決めて10-0。あっという間に勝負を決めた。
敗復1 ○[Tフォール、4:26=10-0] Osmonov, Alibek (キルギス)
《試合経過》第1ピリオドから高橋はタックルとローリングを交互に2回ずつ成功させ、8-0と大量にリード。第2ピリオドになっても試合の流れは変わらない。高橋は相手のサイドにつきチャンスと見るや、一気に崩して2点を追加。テクニカルフォール勝ちを収めた。
2回戦 ●[1-10]Aliev, Haji(アゼルバイジャン)
《試合経過》アクティビティタイムで1点を奪った中村だったが、組み手争いからバックを奪われ逆転される。さらにバックポイントを重ねられ、1-6に。その後も試合の流れは変わらず。場外にローリングで投げられるなど失点を重ね、1-10で敗れた。
1回戦 ○[7-3]Perpelita, Andrei(モルドバ)
《試合経過》アクティビティタイムで1点を先制した中村だったが、すぐ場外に押し出されて1-1に。その後バックを奪われたが、すぐバックを取り返してスコアを3-3に戻す。第2ピリオドになると、中村はテイクダウンとアンクルホールドで2点ずつ奪い、7-3で初陣を飾った。
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【86kg級】松坂誠應(自衛隊) 16位=34選手出場
2回戦 ●[2-3]Baranowski, Zbigniew Mateusz (ポーランド)
《試合経過》第1ピリオドは、アクティビティポイントを1つずつ奪って1-1で第2ピリオドへ。フェイントで攻める姿勢を見せた松坂は4分50秒にアクティビティポイントにより2-1とリード。このまま逃げ切れるかと思われたが、残り12秒に、痛恨のテークダウン。逆転負けを喫した。
1回戦 ○[5-2]Depak, Deepak(インド)
《試合経過》1分半すぎにタックルで2点を先制。その後もフェイントで相手を揺さぶりタックルに入るが取りきれない。4分半、タックルでバックを奪われて2-2の同点とされる。だが終盤に担ぎ上げるタックルから2点を奪って4-2。インド側がチャレンジをしたが審判の判定が正しいとみなされて、さらに1点が追加された。
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【125kg級】山本泰輝(拓大) 10位=24選手出場
2回戦 ●[Tフォール、4:25=6-16]Lazarev, Aiaal(キルギス)
《試合経過》第1ピリオド、両足タックルでテイクダウンを奪った山本は1回戦に続いてローリングを決め6-0とリードする。その後キルギスの選手にバックからのローリングで6-4と猛追され第2ピリオドへ。片足タックルを潰されると、バックをとられ6-6とタイに。さらにローリングで回され続け、6-16でテクニカルフォール負けを喫した。
1回戦 ○[Tフォール、0:42=10-0]Jiang, Dezhen(中国)
《試合経過》試合開始早々、持ち前のスピードを活かしてタックルからバックを奪った山本は左右のローリングで点数を重ね10-0。0分42秒テクニカルフォール勝ちを収めた。