2017.08.24

【2017年世界選手権・特集】「頑張ったけど、動けなかった。情けない」…女子58kg級・坂上嘉津季(ALSOK)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

果敢に攻撃を仕掛けた坂上嘉津季(ALSOK)だが…

 【パリ(フランス)、文=布施鋼治】「情けないの一言です」。3年ぶりの世界選手権出場を果たしながら、初戦で敗れた女子58㎏級の坂上嘉津季(ALSOK)は、敗者復活戦の道を断たれたことが決定した直後、ポツリ、ポツリと試合を振り返り始めた。

 「相手のペースに持っていかれてしまった。思い切りやることを目標にしていたのに、それができなかった」1回戦で坂上と対峙したのは、イリナ・チカラーゼ (ウクライナ)。組み合わせが決まるや、相手の試合映像をさっそくチェックした。セコンドからは「足を動かして」という指示が出たという。

 坂上はチームのムードメーカー。今回も須崎優衣(48kg級)や向田真優(53kg級)とともにお菓子断ちを決行するなど、2度目の世界選手権に向けて並々ならぬ決意を見せていた。
 
 しかし、いざパリのマットに上がった坂上は、いつもの元気いっぱいの坂上とは別人だった。足が動くどころか、チカラーゼの同じリズムのタックルを幾度となくもらってしまう。最初のタックルこそすぐに片足タックルを決めて追いついたが、そのあとはいたずらに加点されていくのみ。

 第2ピリオドになっても、試合の流れを軌道修正することはできなかった。2-10から最後はフォール負けを喫した。その直後に行われた会見で坂上は「頑張ったけど、動けなかった。それだけ」と憔悴しきった面持ちで試合を振り返った。

力を出し切れずに初戦敗退

 「相手が強かったのかと?」いう問いかけには、「いや、普通にやれば勝てたと思う」と答えた。「対応できなかったこっちの問題だと思います」

 なぜ本来の動きができなかったのか。いったいどんなプレッシャーを感じていたのか。試合直前までは「どこまで自分ができるのか楽しみ」とワクワクしていたはずなのに、坂上はその答えをいまも見つけ出せずにいる。

  笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)は坂上のポテンシャルを認める一方で、やさしさが足かせになっているかもと指摘する。「(今年の)アジア選手権の時もそうだった。勝てると思った相手には勝てるけど、こういった大きな大会になると自分の力を出し切れない。アップも、ちょっと足りていない。坂上のようなタイプは、こっちから息を限界まで上げさせる方がいいかも」

 進退については、明言は避けたが、気持ちが揺れていることは確か。「この結果で東京オリンピックとか言えないけど、また1からやっていきたいという気持ちはあります」

 今回の敗戦から得たものは? 「どんな状況でも勝つ人は勝つんだなと思いました。私にはそれが足りない」