※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【パリ(フランス)、文=布施鋼治】男子フリースタイルの84・86㎏級で通算3度の世界選手権に出場している松本篤史(警視庁警察学校)が、男子グレコローマンで世界選手権に初出場を果たし、初戦(2回戦)を勝ち上がった。
3回戦で胸を合わせたのは、昨年11月のゴールデンGP決勝大会優勝のイスラム・アバソフ(アゼルバイジャン)。1-1のイーブンで迎えた第2ピリオド、相手が押し出しを狙ったところで松本は巧みに体を入れ換えようとしたが、そのまま場外へ押し出されてしまった。
結局、この失点が勝負の分かれ目となった。その後、バックポイントも追加され、1-4で敗退した。試合後、松本は「押し出すところを、もう少しうまくできれば勝てた試合だったと思う」と場外際の攻防を悔やんだ。
「ゾーン際での1、2点が勝敗を左右してしまう。アジア選手権の時もそうだったんですけど、本当にそれが命とりになってしまって…。それが、こういう結果になってしまったんだと思います」
奇しくも、初戦で闘ったパリシ・ファビオ(イタリア)との試合はコーションでポイントを奪い合った末に迎えた第2ピリオド、松本はバックを奪うなど点数を重ねて4-1で快勝した。アバゾフとの3回戦と比べると、後半戦の試合の作り方が明暗を分けた格好だ。
「途中までは自分のしたいようにできていたけど、最後の詰めは甘かったと思います」。 強化合宿で男子グレコローマンの松本慎吾監督(日体大教)に松本篤史の予想を聞いたところ、「とりあえず初戦を突破できるかどうか」との本音を語っていた。周囲の不安をよそに、まずは第一段階は突破したわけだが、今回の結果に対して本人は決して満足しているわけではない。
「初戦は突破することができた」と水を向けると、「そこを目標にしていたわけではないから」と語気を強めた。「一戦一戦全力で闘うことが目標だった。勝ったら次を全力で闘い、さらに上を行くことが目標だっただけに悔しい」
それでも、世界の第一線で闘える感触はつかんだ様子だ。「フリースタイルも含めて何回か世界選手権に出ているので、こういう大会場で物おじするとか、のまれるということは全くなかった」
今秋に警察学校を卒業すれば、いま以上にレスリングの練習に時間を割くことができるようになる。「スタミナ面では全然負けていないと思う。紙一重のところでとり切るテクニックがあるかどうか」
フリースタイルの世界選手権に続き、グレコローマンのそれでも白星をあげた松本はさらなる一歩を踏み出すことができるか。