※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2年ぶりに行われた全日本ビーチ選手権では、2014年世界選手権(ウズベキスタン)の男子グレコローマン71kg級代表の江藤紀友(辻屋質店)が、シニア男子の中量級で優勝。前回大会に続いて2連覇を達成した。
江藤は「日本初のプロ・ビーチ・レスラーを名乗ります。マットからビーチに移った第1号の選手になると思います」と満足そうな表情。今後はビーチ・レスラーとして、世界ビーチ選手権の出場も視野に入れ、生涯現役を目指して活動していくという。
大会の5日後に34歳になるベテランで、昨年12月の全日本選手権にも出場した現役バリバリの選手。しかし初戦で敗れて表彰台を逃し、普通のレスリングでは限界らしきものを感じたという。「表彰台が遠くなると、やはりね…」。
そこで目をつけたのが、2年前に優勝したビーチ。「基本は同じです」。2連覇によってその魅力にとりつかれたようで、今後はビーチを主戦場にやっていくことを決意したという。
ビーチレスリングは、世界レスリング連盟(UWW)が認めるレスリング・スタイルのひとつ。日本からの参加はないが世界選手権も行われており、今年は10月にトルコで行われる。ビーチバレーがオリンピック種目となったことを考えると、将来、ビーチレスリングがオリンピック種目になってもおかしくない。
「バレーボールでは、普通のバレーを引退してビーチバレーに移り、オリンピックに出ている選手がいますよね。そんなレスリング選手がどんどん出てきてもいい。ボクが、その第1号選手です」と、パイオニアの心意気。
実は昨年9月にベトナムで行われたアジア・ビーチ大会のレスリング競技に日本代表として出場した国際ビーチ・レスラーでもある。その時は1・2回戦を勝ちながら、準決勝で負傷棄権し、5位に終わっていた。そのリベンジも視野にあるようだ。
「レスリング、楽しいです。楽しくなければできない。体の動く限り、続けます」。江藤の情熱が、世界ビーチ選手権の日本人出場第1号へとつながるか。