※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 団体・個人の両方で優勝を手にした服部大虎(千葉・日体大柏)
2回戦で昨年50kg級2位、国体王者の森川海舟(東京・自由ヶ丘学園)を破って勝ち上がり、決勝では藤田颯(埼玉・花咲徳栄)に11-2と大差をつけて勝利した。
キッズ時代から頭角を現し、中学3年の時には全国中学生選手権で優勝して最優秀選手賞を受賞した。最後のインターハイを迎え、ようやく初優勝を手にした。「やっと」という言葉の意味は2年生で優勝するはずだったという素直な気持ちの表れだ。
「今年のインターハイは勝つのは当たり前。だから圧倒的に勝とうと思っていた。このような結果でうれしいけど、悔しい部分もあります」。失点もあり、自己採点は100点とはいかなかったようだ。
軽量級選手の課題となるのが、成長期の階級の見極めだ。服部も50kg級だったが、限界に。しかし55kg級にはチームのエース、山口海輝の存在があり、3月の全国高校選抜大会では60kg級に階級アップ。学校対抗戦では控え選手に回ったが、個人戦では3位入賞を果たした。
森下史崇コーチによると、「強い選手がたくさんいるので、チーム事情で春ごろは60kg級にしていた」のだが、山口がインターハイを60kg級でエントリーしたため、服部は適正体重の55kg級への道が開けた。
個人戦でも優勝し、王者の表情を見せる服部
■MVPのプライドは捨てていたが、先輩のプライドだけは捨てなかった
なかなか優勝できない服部は、大澤監督から「MVPのプライドを捨てろ」とアドバイスを受けていた。それは服部も同感だった。「中学の結果は過去のこと。高校、大学と勝っていくことが大切だと思っていたので、全中MVPのプライドは捨てて取り組んでいたのですが、なかなかうまくいかなかったですね」と苦しかった時期を振り返った。
転機となったのが、3位に入賞した全国高校選抜大会だった。「同じキッズクラブの後輩、鈴木歩夢(埼玉・埼玉栄)に負けたことが悔しかった」と、この4ヶ月間、先輩としてのプライドを持って練習に取り組んだことが功を奏した。
強豪チームならではの熾烈な部内争いを乗り越えて、最後の夏には2つの金メダルを獲得した姿は、全中MVPになった時よりも何倍も輝いてるように見えた。「これも大澤監督やコーチのおかげです」と笑みを浮かべたが、服部が誰よりも感謝した人物がもう一人いた。
「小さいころからレスリングをやってきて、いつも応援してくれたお父さんに感謝したい。決勝も一生懸命叫んでいた声が聞こえた。少しばかり恩返しできました」。中学、高校共にチャンピオンの座に就いた。大学でも“金メダル”に挑戦だ!