※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 3連覇を達成した森川美和(東京・安部学院)
今年のインターハイは、世界ジュニア選手権と日程がかぶってしまい、同選手権の出場資格を手にした選手にとっては、どちらの大会に出場するか、レベルの高い選手ほど悩みの種だった。今年3連覇の権利があったのは、須崎優衣(東京・安部学院)と森川の2人だった。
須崎は世界ジュニア選手権を選択し、インターハイの予選となる関東大会にエントリーしなかった(その後、世界選手権代表になったため、世界ジュニア選手権も辞退)。
森川も4月初めのジュニアクイーンズカップで優勝し、同月のJOC杯で2位という成績。世界ジュニア選手権の代表第一候補だった。「どちらも大切な大会なので、すごく悩みました。涙を流しながら」。メリットとデメリットを書き出し、吟味した結果、森川が選んだのはインターハイだった。
「優衣ちゃんが辞退して、3連覇を目指せるのが自分だけだった」と、同世代の看板選手としての自覚があったことに加え、こう切り出した。「海外の試合に行っても、自分だけ優勝できない時がある。日本で力をつけて、それから世界に行きたいと思った」。
昨年9月の世界カデット選手権は、日本女子は出場した9階級中8階級で金メダルを獲得。唯一銀だったのが森川だった。屈辱だったことは言うまでもない。しかも、今年の4月のJOC杯では、けがをしていたとはいえ、久々に同世代の松雪成葉(東京・至学館)に黒星。その反省を踏まえ、国内でしっかり強化に励んできた。
■「インターハイに出場したことは間違っていなかった」
もう一つ、インターハイを選んだ理由がある。「今年は弟と、従妹と3人そろってインターハイに出る最後のチャンス。みんなで優勝したいという気持ちがありました」。弟の陽斗の全国大会出場はならなかったが、従妹の海舟(東京・自由ヶ丘学園)は国体王者の強豪選手。
決勝で戦う森川
大会第3日は、女子は決勝のみの1試合、男子個人戦は3回戦までという日程だった。優勝候補だった海舟がまさかの2回戦敗退。そのショックに、森川の気持ちはさらに燃えた。「海舟の分までやってやる!」-。
中井ほのか(愛知・至学館)との決勝は技を決め切れず、テクニカルポイントなしの2-1というスコアだった。「圧勝できなくて悔しいし、情けないと思った。『3連覇は余裕だ』と言われて、少しプレッシャーとなってしまった」との悔いは残ったが、森川の真骨頂である下がらないレスリングをすることはできた。
女子史上3人目の栄冠に、森川は「インターハイに出場したことは間違っていなかった。この優勝で、わが子のようにサポートしてくれた森川家に恩返しできたと思う」と叔父、叔母に感謝の気持ちを伝えた。