※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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(文=保高幸子) 伊藤彩香(東新住建)
初出場の世界選手権は万全ではなかった。3ヶ月前の全日本選抜選手権で右肩を脱臼し、世界選手権の2回戦で同じく右肩を亜脱臼。その状態で闘った。「3位決定戦で逆転フォール負け。みんなには『(けががありながら)よく頑張った』と言ってもらったけど…」と、納得はできなかった。
悔しい思い出の世界選手権のあと、出場した7つの国際大会のすべてでメダルを獲得している。しかし「世界選手権は入ってないし、優勝を続けているわけでもない。何でもありません」と厳しく分析する。目指しているのはもっと上。「オリンピックにつなげるためには、世界選手権で金メダルを取らなきゃ意味がない」-。
全日本選抜選手権で優勝し、4年ぶりの世界選手権出場を引き寄せた伊藤彩香=撮影・矢吹建夫
伊藤は「考え方を変えた」という。きっかけは昨年の敗戦後、5年前に恩師の故吉田栄勝コーチに言われた「負けたらどうしよう、じゃなく、勝つつもりでやれ」という言葉を思い出したこと。「優勝のチャンスがある時にも、負けたらどうしよう、と弱気になってしまうことがありました。吉田先生の言葉をもっと早く思い出せばよかったんですけど」と照れ笑い。しかし、遅すぎるということはないだろう。
■2013年世界選手権での悔しい敗戦で、レスリングに“ハマる”
伊藤は無類の阪神タイガースのファンで、「練習のオフと阪神の名古屋での試合が合えば、試合を見に行く」というのめり込みよう。昨年は2軍の試合も含めると9回も見に行った。「ハマったら、すごい(ハマる)」と自己分析するが、「でも、レスリングとは、ほどよい距離でした」と笑う。
全日本合宿で練習する伊藤彩香=撮影・保高幸子
世界選手権では、この階級に出場するかは不明だがモンゴルのオーコン・プレブドルジ(前年の大会で伊調馨を破る)をマークする。今年1月のヤリギン国際大会(ロシア)でテクニカルフォール負けしており、「絶対に勝ちたい」と話す。
パリに応援に来る予定の母も、伊藤のリベンジを期待しているはず。「危ない試合が多いから、母は手で顔を覆ってちゃんと見ていないことが多いんです。今回は安心して見られる試合をしたい」と話す。
8月、本気の伊藤が金メダルを獲りに行く。輝くメダルを胸に抱き、誇り高く応援席に手を振る姿が見られるか。
伊藤 彩香(いとう・あやか=東新住建) 初出場(通算2度目の出場)
1993年1月4日生まれ、24歳。三重県出身。愛知・至学館高~至学館大卒。164cm。2009年JOC杯カデット56kg級優勝などを経て、2013年に全日本選抜選手権59kg級で優勝。世界選手権は5位。
2015年に全日本選手権で優勝し、2016年はアジア選手権2位、ゴールデンGP決勝大会60kg級3位。全日本選手権で優勝したあと、2017年ヤリギン国際大会(ロシア)で3位へ。
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![]() 2006年全国中学生選手権46kg級で3位入賞の伊藤(左端)。優勝は浜田千穂選手 |
![]() 2013年世界選手権59kg級。右肩の負傷を乗り越えて5位入賞=撮影・保高幸子 |
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