※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
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(文=保高幸子) 鈴木博恵(クリナップ)
性格的にはおっとりしていて、リーダータイプという感じではないが、「日本の重量級、みんなで強くなっていきたい」と口にし、若手にとっても鈴木の存在は大きい。「3歳から始めた」ということで、レスリング歴は27年。「こんなに長い間練習しているので、試合で(力を)発揮できないまま終わっては、つまらない」と、メダル獲得に向け静かに燃えている。
オリンピック出場を逃し、同年の全日本選手権で引退しようと思っていた。そのため、試合に臨む気持ちはいつもと全く違った。「勝てたらいいな、という気持ちだったから、今までの(試合で感じた)緊張がうそのように気が楽でした。あの経験は初めでした」と顔がほころぶ。
その後は引退するつもりで、いろいろなことをして過ごした。走るのが好きな鈴木は、ずっとやりたかったフルマラソンに挑戦。「2月に会社の本社があるいわき市でのレースに出場して、完走しました」とうれしそうに話す。周囲に「まだレスリングできるんじゃない?」と言われたという走りだった。
全日本選抜選手権で優勝し、ガッツポーズを見せた鈴木博恵=撮影・矢吹建夫
2011年に引退した兄・崇之はもっと熱心だった。「どうせまたやりたくなるから、もう少しやってみたら」と実感を込めて言われた。3月の終わりに本格的に練習を再開した。
■「他の代表より負けている数が多い」のが強み
リオデジャネイロ・オリンピックはオンタイムでは見ず、後から見たという。日本女子選手たちの接戦、ラスト数秒での逆転劇を目の当たりにし、「みんなの気持ちの強さが伝わってきた。最後の最後は気持ちの強さで勝負が左右されると思った」と話し、鈴木自身も諦めない気持ちを少しずつ持てるようになってきた。
十日町での全日本合宿で練習する鈴木博恵
パワーのある外人につかまれ、それに対応してしまうのが悪いくせだった。相手に合わせず自分のペースで試合しなければ-。今までできなかった。今度は違う。「最初から自分の形をつくって、無理に入らず、相手が苦しくなって入ってきてしまうようにしたい」と、自分の形を守りつつチャンスを作り出せるよう練習している。
今年6月の全日本選抜選手権は、優勝を決めたあと、珍しく大きなガッツポーズを見せた。間違いなく以前とは違う姿だった。
「最初から前に出るレスリングをしたい。ふだんの練習を試合で出す」。それができればメダルは現実にものとなるだろう。これまで4度出場し、7位が最高という世界選手権の舞台。今度は必ず、メダルを勝ちとる。
鈴木 博恵(すずき・ひろえ=クリナップ) 2大会ぶり2度目の出場(通算4度目の出場)
1987年8月19日生まれ、30歳。京都府出身。京都・立命館宇治高~立命館大卒。162cm。2006年アジア・ジュニア選手権67kg級優勝などで頭角を表す。2012年に全日本選抜選手権72kg級で優勝し、世界選手権は11位。75kg級で2013年世界選手権9位、2014年7位と順位を上げた。
負傷で2015年世界選手権を棄権。回復に努めたがオリンピック予選に間に合わなかった。2016年の全日本選抜選手権は復活優勝。その後も勝ち続けた。
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![]() 2005年全日本選手権67kg級、高校生で3位に入賞(右から2人目) |
![]() 2013年アジア選手権、メジャー国際大会で初優勝 |
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