※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《JWFデータベース》 / 《UWWデータベース》 / 《国際大会成績》 / 《勝者の素顔=JWFフェイスブック》
(文=増渕由気子)
藤波勇飛(山梨学院大)
“70kg級”フジナミの世界デビュー戦だ! 世界選手権の男子フリースタイル70kg級は、昨年のリオデジャネイロ・オリンピック最終予選65kg級代表の藤波勇飛(山梨学院大)が出場する。中学時代に全国中学生選手権3連覇を達成したキッズエリートが、ついに世界に挑戦する。
昨年までは65kg級を主戦場とし、2020年東京オリンピックに向けて同級のホープとして見られていた。昨年12月の全日本選手権は減量に失敗して試合を欠場。今年6月の全日本選抜選手権では、新階級区分でオリンピック階級になるとも言われている70kg級にシフトチェンジして初優勝、プレーオフも制した。
弱冠21歳の出場に藤波は「ようやくって感じ。もっと早く出られると思っていました…、なんちゃって」とおどける。2014年、ウズベキスタンでの世界選手権を現地で視察したほか、カデットやジュニアの世界選手権は何度か経験しメダルも獲得。今回、初出場と言っても“世界での経験値”は高く、イメージトレーニングもはかどっている。
世界選手権代表を決め、応援席にこたえる藤波=撮影・矢吹建夫
テンションが上がる理由のひとつに、新階級での挑戦にある。「初めての70kg級。初見の選手が多いと思うけど、研究もされてないからこそ、成績を残して自信をつけたい。乗りと勢いで、行けるところまで行きたいですね」。
昨年12月に行われた非オリンピック階級の世界選手権(ハンガリー)で多胡島伸佳(KATSURA group=当時早大)が5位に入り、今年5月のアジア選手権(インド)では中村百次郎(日体大助手)が3位と上位進出を果たしている。この2人に圧倒的大差で勝って代表になったのだから、「自分も70kg級で勝ち上がれる」と意気込みを見せる。
■レスリングは格闘技! 反則ぎりぎりの攻撃にも対応する
藤波のスタイルは、外国人のような省エネかつ緩急のあるスタイルだ。「ずっと力を入れていると疲れちゃう。普段はゼロの状態で、ここ一番の時にスイッチを入れて100にするんです」。そのスタイルは、カデット時代から国内外で場数を踏んだことで自然と身についた。6分間闘う体力以上に、ここ一番の決定力に藤波は比重を置いている。
外国人対策として、全日本合宿ではグレコローマン流の練習も
藤波は足を触らせてからのディフェンス能力にも秀でている。「普通の選手は、力を入れている選手としかやらないから、僕のように力を抜いている選手だと、かえってバランスを崩してしまうんですよね」。どんなピンチも得点に変えてしまう理由はそこにあった。
警戒する国は米国やロシア、イタリアあたり。でも「特定の選手対策はしないつもり。それより自分のレスリングを確立します」と自分磨きに精を出す。技の攻防が醍醐味とはいえ、レスリングは格闘技。海外では、反則ぎりぎりの攻防が勝負を分けることがしばしば。
世界の経験値が高い藤波は、きれいな技を磨く一方で、「自分がやられて嫌なことって、相手も嫌なんです。人体の構造は同じ。相手が嫌がることをしていきたい」と、勝負に繋がることならどんなことでも熱心に研究している。
「オリンピックは逃したという気持ちが強くて見ていて悔しかった」と振り返るリオデジャネイロオリンピックから1年。藤波勇飛が本当の世界デビューを果たす。
藤波勇飛(ふじなみ・ゆうひ=山梨学院大) 初出場
1996年5月27日生まれ、21歳。三重県出身。三重・いなべ総合学園高卒。173cm。2009~11年全国中学生選手権で3連覇、2013年に世界カデット選手権2位、2014年高校四冠王者などを経て、2015年は全日本選手権2位。翌春のオリンピック最終予選に出場。
2016年は70kg級で学生二冠王に輝いたほか、世界ジュニア選手権66kg級で3位。2017年に70kg級へのアップを正式に決め、全日本選抜選手権を制した。
|
![]() 2009年全国中学生選手権で1年生王者に輝く |
![]() 2013年世界カデット選手権、銀メダルを取って帰国した藤波(左端) |