※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=増淵由気子、撮影=矢吹建夫) 93人参加のトーナメントを勝ち抜いた須田快晴(長崎・群3年)
日体大でレスリングの経験がある濱崎宏監督率いる大村ジュニアで練習を積んでいる。クラブの人数は30人ほど。活気はあるが、小学生が多く、中学生の練習相手は不足気味。須田は昨年のこの大会はベスト8に終わり、成績は伸び悩んだ。
弟が全国少年少女大会で優勝したことも刺激となり、もっと強くなりたいと監督にアピールすると、濱崎監督は隣県の佐賀・鳥栖工高への出げいこを提案した。鳥栖工高は、監督の大学の先輩である小柴健二監督が率いている。
「大村から鳥栖工高まで高速で片道2時間くらい。両親が送り迎えしてくれたり、同じチームメイトと電車で行くこともあります」。往復4時間の道のりも、強くなるためなら苦にならなかった。平日は地元のクラブで学び、週末は隣県の強豪高で高校生を相手に練習を積んだ。
決勝で闘う須田快晴
須田は「この1年で持ち技の種類をたくさん増やすことができました」と、出げいこの効果を実感している。濱崎監督は「週末の出げいこ以外でも、普段から動画サイトでトップ選手の技を真似したりして、とても熱心に研究しています。有名選手の入場時のクセまでも再現していますからね(笑)」。
普段から研究熱心なこともあり、鳥栖工高に出げいこを始めてから実力が飛躍的に伸びた。今、足りないと感じているのは体力面だ。93選手の頂点に立つために2日間で7試合を勝ち抜いた。「体力をもっとつけないといけない」と実感したが、この疲労感が須田にとって少し快感だった。これまでは疲れる前に負けてしまうことが多かったからだ。「今回は実力を出し切ったと思います」と満足そうに話した。
このあと、高校、大学とレスリングを続けて将来は、「ロンドン・オリンピック金メダリストの米満(達弘)選手のようにオリンピックのチャンピオンになりたい」と大きな目標を掲げた。