※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 試合を見つめる関大ペンチ
今大会の一部リーグは大荒れだったが、二部も同様だった。優勝候補の関大が初日に帝塚山大に2-5で敗れ、混戦状態になった。比与森正志監督は「初日に敗れて、昇格は厳しいかなと思った。実は昨シーズンの一部は、全敗ながら一部常連チームの立命館や近大に3-4という試合をしたうえでの降格。自分たちは一部でやっていける戦力があると思ってしまったんです」。これで、チームにおごりの気持ちが出てしまったようだ。
帝塚山大は昨年の全国高校選抜大会74kg級2位の喜多佳佑(石川・金沢北陵高卒)という全国トップクラスの選手が加入した。キッズクラブ時代の恩師は、昨年のリオデジャネイロ・オリンピック女子63kg級で金メダルを獲った川井梨紗子の母・初江さん。オリンピック選手を育てた手腕によって基礎をたたきこまれた生粋のキッズエリートで、戦力は厚みを増していた。
比与森監督は「そういう部分をあまり意識してなかった。関西学院大になんとか勝ったら、あとは負けないだろうと思っていましたね」と苦笑い。足元をすくわれる1敗を喫して、やっと気がついた。二部だって甘くない―。
■最終戦で6-1以上が優勝の条件! その試練を乗り越えた
気持ちを切り替えて臨んだ桃山学院大戦でも4-3と辛勝だったため、関大の優勝条件は、最終戦で全勝の関西学院大に6-1と大勝することだった。
4勝目を挙げ、雄叫びをあげる1年生ルーキーの田中颯人
1番手の一瀬剣(74kg級)が6-1と流れをつくり、2番手の竹本荘志(65kg級)が圧勝のテクニカルフォール。流れは止まらず4番手の田中颯人(125kg級)が鮮やなフォール勝ちを決めてチームスコアは4-0。この段階でチームの勝利を決めた。
その流れを止めずに、61kg級、86kg級も勝って6勝目。最後の70kg級は落としたが、3勝1敗ながら勝ち数が関大18、帝塚山大と関西学院大が17で、関大の優勝が決まった。
比与森監督は「関西学院大戦は気持ちでしたね」と冷や汗顔。秋には再び一部で闘うが、今度こそ定着したいところだ。「夏場の練習でしっかり力をつけ、秋の個人戦で頑張ってリーグ戦につなげたい。一部リーグは8校の総当たり戦となり、メンバーが少ない関大にとっては厳しい闘いになりますが、竹本主将になってからスパーリングの量も増やして冬場の練習をしてきました。なので、今回ばてた選手はいませんでした。一部で闘えます」。
苦労してつかんだ一部復帰。今度こそ一部定着なるか―。