※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
成田空港での解団式
59kg級の文田健一郎(日体大)と71kg級の泉武志(一宮グループ)の2選手が優勝し、グレコローマンとしては7年ぶりのチャンピオン誕生。金メダル2個は28年ぶりの好成績。しかし松本慎吾・男子グレコローマン強化委員長(日体大教)は、初日の5階級でメダルを取れなかったことが「心残り」と話し、その顔に喜びの表情はなかった。
メダルを取れなかった選手は「本来の力を出し切れなかった」と言う。言い換えれば、持っている力を出し切れば全員がメダルに手が届くと思っていた。グレコローマンでは初のアジア選手権となる85kg級の松本篤史(警視庁警察学校)も「力出し切れば決勝でも勝てた」と話す。実力が足りないのではなく、出し切れなかったことに無念の気持ちがあったようだ。
一方、最近の国際大会で優勝が続いてマークされている中で優勝を遂げた文田に対しても、「まだプレッシャーがかかる大会ではない。世界選手権や来年のアジア大会を確実に勝ち切る力はない」とピシャリ。オリンピック翌年で休養している強豪も多く、さらなる努力の必要性を口にした。
このあとは、6月16日(金)~18日(日)の明治杯全日本選抜選手権まで全日本合宿はなく、各所属での練習となり、世界選手権の代表が決まった後、再び全日本チームとして活動する。「今回の反省点を忘れることなく、課題を克服させたい」と話した。
7月にポーランドとスペインで合宿と大会出場、選手によってはゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)に出場し、実戦経験を積んで世界選手権に臨む予定。
メダル獲得選手。左から泉武志(一宮グループ)、文田健一郎(日体大)、松本篤史(警視庁警察学校)
その中でも勝てたのは自信になる。押し負けずに前に出られたし、ワンランク上にいったことだとは思う。今後は、ぎりぎりの試合ではなく、もっと得点力を上げて差をつけて勝てるようにしたい。
(国内では研究され尽くされている相手=太田忍=がいるが)研究されてもポイントを取れるよう、自分の技に磨きをかけたい」
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■71kg級優勝・泉武志(一宮グループ)「試合から1日が経って、優勝した実感が湧いたが、今は(次の闘いの)全日本選抜選手権に向けて気持ちを切り替えなければならないと思っています。すぐに準備します。勝因は、3月のハンガリー・グランプリで世界チャンピオン相手にあと一歩の闘いができていたのに、気持ちで負けていたので、今回は絶対に気持ちで負けないと思ったことだと思います。きつくても前に出るという気持ちを忘れなかった。
組み手などにまだ課題が残っています。優勝したことで研究されてくるでしょうし、その中で勝ち抜いていかないとなりません。前に出るスタイルなので、前に出る力をつけたい。国内のライバルも刺激されて(全日本選抜選手権へ向けて)必死にやってくると思いますが。今回の優勝で自信もついたし、国内で勝たないと世界でも勝てないので、どんなことをしても勝ちます」
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■85kg級2位・松本篤史(警視庁警察学校)「まだ悔しさが残っている。場外際でもつれた時、きちんとテークダウンをとっていれば勝てた、という思いが強い。わずかの差で金と銀の差となり、その差は大きい。(グレコローマン初のアジア選手権で銀メダルは上出来では? の声に)金メダルを取って満足したかった。
ただ、イランという強豪国選手を相手に、パッシブを取られることなく、押し負けずに競ることができたのは、少しは自信につながる。グレコローマンの経験はまだ少ないので、(全日本選抜選手権で勝って)世界選手権までの間にいくつか国際大会を経験したい。まずは目の前にある全日本選抜選手権」