※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 静岡県の伝統を守り、3位入賞の沼津城北
まさに台風の目となる活躍ぶりだった。1年生に全国中学王者などキッズ時代から活躍しているメンバーを4人も揃え、名前まで同じという衝撃的ないでたち。しかも初戦から準々決勝まで4人全員が負け知らずの快進撃だった。
■昨年王者を撃破した杉山慶太監督の全国デビュー
飛龍不在の今大会、静岡県のメンツは沼津城北にかかっていた。杉山慶太監督は「正直プレッシャーがありました。東海は飛龍をはじめ、いなべ総合学園(三重)や岐南工(岐阜)など全国の常連チームがたくさんあります。ベスト4に入って当たり前でしたから。1、2回戦で負けてはいけない、勝たなきゃいけないと思っていました」と重圧があったことを吐露した。
監督の心配事は無用だった。初戦の2回戦で小諸(長野)を7-0で破って迎えた3回戦。相手は昨年王者の鹿屋中央(鹿児島)だったが、これを撃破してベスト8に進出した。沼津北部(校名変更で沼津城北となる)時代も含めて何度か全国大会に出場した記録はあるものの、杉山慶太監督が赴任してからは初の全国の舞台。実質の“全国デビュー”でディフェンディング王者を倒したのだから鮮烈デビューを飾ったと言えよう。
“堤4兄弟”の活躍で昨年の王者・鹿屋中央を撃破
「この双子たちのすごいところは、レスリングも強いのですが、成績も優秀なんです。昨年の入学試験で1番から4番までが、この堤兄弟が独占したんですよ。学内では文武両道でお手本のような存在です」。自慢の教え子たちで杉山監督の鼻も高いことだろう。
苦労した点と言えば階級のところだった。「双子ですから体格が同じで、正直、55kg級の太一と66kg級の滋樹は体重が足りない状態でした」と、学校対抗戦の階級に合わせてエントリーさせたハンディがあったが、双子ならではの結束力でカバーした。
■双子がゆえにライバル意識も強烈!
さらに、だ。杉山監督はこう続けた。「双子は堤兄弟の2組だけではないんですよね。あと2組いるんです。部員12人中7人が双子なんです」。74kg級に出場した丸山純樹も女子部員の栞和と双子で、さらに60kg級の控え選手の望月瑞生が剣道部に所属している兄・佑樹と双子だという。
レスリング部所属の4組7人の双子が勢ぞろい
ベスト4入りを果たしてうれしい反面、準決勝で優勝した日体大柏(千葉)に完敗したことは反省点だ。「もうちょっとやれたはずなのに、雰囲気にのまれてしまった。お互いにキッズ時代から知っていて、相手の肩書を見て勝負してしまったね。キッズ選手のマイナス面が出た試合でした」。
夏までには課題をクリアして今度はインターハイの表彰台を目指すのが次の目標だ。