※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 昨年のインターハイに続き全国制覇を達成した日体大柏(千葉)
大沢監督は「生徒たちの出来は素晴らしかった。このチームをつくれて幸せ。あらためて選手を送ってくれたクラブチームの先生方に感謝したい」と振り返り、砂川航祐コーチは「今日は選手ひとりひとりの力が出し切れた。接戦も多かったけど、取るところをしっかり取れたことが勝因だった」と、指導陣も圧巻の勝利に酔いしれた。
課題だったチーム力も光った。全階級そろわなかった昨年と一変し、控え選手も全国レベルという階級が増え、チーム力は格段に上がった。初日の山形商(山形)戦で、50kg級の竹下雄登が足を負傷。決勝戦は急きょ谷口龍我に変更となったが、きっちりと勝利を収めた。
大沢監督は「決勝戦は50kg級がカギだと思っていたので、谷口が勝って勝ちを確信した」と、控え選手でも大事なところに起用できる層の厚さを見せつけた。
チームを支えた井筒勇人主将
3勝1敗で勝負が回ってきた井筒主将は、縦横無尽にマットをかけまわりチームの勝利となる4勝目を挙げた。誰かの負けを誰かがカバーするという、大沢監督が課題に挙げていたチーム力もついてきた。
■学校対抗戦の連覇記録は「6」、大記録の序章となるか―
個々の能力では秀でていても、チーム戦になると何が起こるか分からないのが団体戦の魅力であり怖さだ。井筒主将は、「大沢先生がいつも『霞ヶ浦(の監督)時代、勝てない試合もチーム力で覆して勝ってきた。勝負は何が起こるか分からない。逆にそういうことをされないように』と言われている。油断しないよう、チームメートにも試合前に必ず、その部分について触れるようにしてきました」と常に気を引き締めていた。気持ちにすきをみせなかったことも、日体大柏が圧勝した要因かもしれない。
セコンドにはつかなくとも、常に選手を支える大沢友博監督(右端)
井筒主将は「あとはこの夏、連覇して、来年後輩たちにこの大会を連覇してもらい、次から次へと受け継がれてもらいたい」と抱負。全国高校選抜大会の学校対抗戦は、霞ヶ浦と光星学院(青森)の6連覇が最高記録として残っている。今回の優勝は、日体大柏の大記録の序章となるか―。