※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
約4ヶ月ぶりの味の素トレセンでの女子合宿
栄和人強化本部長は、前日から山梨学院大で始まった男子フリースタイルの合宿に参加しており、2日目の23日から合流予定。笹山秀雄・女子強化委員長(自衛隊)が「オリンピックがそうだったように、日本はラスト20秒からの攻撃に強さがあるが、そこで逆転できない選手もいる。終了間際の攻撃力アップに力を入れたい。アジア選手権(5月、インド)の代表が決まったので、それに向け、パワーのある外国選手対策をやっていきたい」と、選手に合宿のテーマを説明した。
練習のあと、同委員長は「全日本合宿参加は久しぶりという選手も多く、硬くなって攻撃ができない選手もいた。どんな状況でも、だれが相手でも、がむしゃらにやるという姿勢がないと世界では勝てない。全体的に元気がなかった」と苦言。
練習の最後の補強トレーニングでは、以前は吉田沙保里選手が先頭を切って臨み、かけ声を出すことによって周囲の選手に最後の力を振り絞らせていたが、今はそうした選手はおらず、全員が同じようにメニューをこなしている状況だった。笹山強化委員長は「(登坂)絵莉はけがをしているし、そうした選手がいない。だれか一人、チームを引っ張っていく選手が出てきてほしい。明日からはコーチが盛り上げ、最後の底力を出させたい」と話し、2日目からのテーマに「元気」を加えた。
■川井梨紗子と土性沙羅はアジア選手権(5月、インド)で国際大会に復帰
4月からジャパンビバレッジの社員として2020年東京オリンピックを目指す58kg級の川井梨紗子は、4ヶ月ぶりの味の素トレセンでの練習に、「久しぶりの場所での練習は気持ちが違う。新鮮な気持ちで取り組め、中身のある練習になると思います」と、今回の合宿に新鮮な気持ちを求める。
約60人が汗を流した
先の話になるが、来年から実施される早朝計量や1回戦から決勝までを2日かけてやるルール改正については、「そんなに影響はないと思います」とさらり。計量してから2時間後に試合があるという状況は初体験になるが、それを含めて、「何か変わるのかな、と思うけど、何も変わらないと思う」と、意に介してないようだった。
登坂絵莉と同じ東新住建に入社して2020年東京オリンピックを目指す69kg級の土性沙羅は「至学館大での合宿では重量級の選手とやる機会が少なかった。今回は重量級の選手が多く、刺激になります」と、川井と同じく環境が変わっての全日本合宿を歓迎。
やはりアジア選手権に出場して世界選手権(8月、フランス)への弾みをつけることになった。「優勝を目標に、けがをしないように注意して臨みたい」と、オリンピック後の初の国際大会を迎える。
川井と違う点は、ルール改正に対しての気持ち。「ずっと前日計量でやってきたのが変わり、しかも試合が2日間になる。どんな感じなんでしょうね。決まった以上は、それに合わせた練習をするのは当然ですが、前日計量の方がいいです」と、ちょっぴり不安を感じているようだ。
登坂は、1月に受けた左足の手術のため、この日は手押し車や綱登りなどのトレーニングに終始した。「回復に思っていたよりは時間がかかっていますが、よくはなっています」とのことだが、組み合いの練習は、上半身だけのグレコローマン的な打ち込みができる程度。脚を使った普通の打ち込みができるまでには、もう少し時間がかかりそう。
若い選手の練習を見て、焦りは「あります。もどかしい気持ちです」と言う一方で、「焦らずにやりたい」と、自分自身の気持ちと闘っている。世界選手権(8月、フランス)の予選となる6月の明治杯全日本選抜選手権は、「目指してはいますが、出るために焦ることはしない」と、現段階で出場か不出場かは未定。「今は我慢の時」と、自分を抑えることが今の課題のようだ。
合宿は28日まで行われる。
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![]() 2年2ヶ月ぶりに58kg級の国際大会に臨む川井梨紗子 |
![]() 笹山委員長や吉田沙保里コーチの見守る中で練習する土性沙羅 |
![]() 後輩の練習を見守ったあと、世界チャンピオンの向田真優をつかまえて打ち込みを始めた吉田沙保里 |
![]() 吉田沙保里を相手に練習する向田 |
![]() 脚の手術のため、現在は上半身を徹底的に鍛える登坂絵莉(中央) |
![]() 最後の力を振り絞っての補強トレーニング |