※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
2月20日から23日まで、肌を露出しないレスリングである「ベルト・レスリング(アリシュ)」と「グラップリング」の普及を推進するイランの女子レスリング関係者5人が来日。オリンピック・チャンピオンを多数輩出した至学館大の練習を見学し、福田富昭会長とも懇談した。
イラン協会国際部ディレクターで世界レスリング連盟(UWW)女性委員会委員のファルナス・パナヒーザデさんに、来日の目的やイランの女子レスリング事情を聴いた。
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■2017年2月23日: 女子の“競技人口”は2000人! イランの女子レスリング関係者が来日
来日したイラン女子レスリングの役員。左端がファルナス・パナヒーザデさん
――今回の来日の目的からお願いします。
パナヒーザデ 日本の女子は世界一です。イランのレスリング協会は女子をスタートさせましたが、女子のトレーニングを見学したいと思い、訪れました。
――来日のメンバーは?
パナヒーザデ 私のほか、イラン・レスリング協会の女子の副会長、ベルト・レスリングのコーチ、グラップリングのコーチ、経理担当の合計5人です。
――この1年間、イランの女子レスリングはどのような活動をされていましたでしょうか。
パナヒーザデ ベルト・レスリングとグラップリングの世界選手権に出場しています。ベルト・レスリングは国別対抗得点で2位に入りました。グラップリングは4位です。2年前にスタートしてから選手と審判が増えました。スタートしたばかりのイランですが、キルギス、トルクメニスタン、ウズベキスタン、ロシアなどと肩を並べて闘えるようになりました。
――イランの女子の競技人口はどのくらいでしょうか。
パナヒーザデ いわゆるアスリートという選手は100人くらいです。ただ、全国で2000人くらいがレスリングに親しんでいます。イランの女子レスリング熱は高まっています。
――世界最強の女子チーム、至学館大の練習を見学されましたが、感想は?
パナヒーザデ 日本の女子選手が手抜きをすることなく、一生懸命に練習していることを知りました。コーチの指示にかかわらず、皆さんが自分のために必死で練習し、努力していたシーンが印象的でした。オリンピックのチャンピオンが生まれる理由の一端を見たような気がしました。
――日本では女子のベルト・レスリングやグラップリングは普及していません。日本にも呼び掛けるお気持ちは?
パナヒーザデ ぜひ、お願いしたいと思います。同じレスリングですし、一生懸命に取り組む日本人なら、すぐに強くなれると思います。
――イランのニュース・サイトで、頭を含めて全身を覆うような試合着を世界レスリング連盟(UWW)が認めた、というニュースがありました(クリック)。これは、いかがなのでしょうか。
パナヒーザデ ロシアなどの国は認めてくれましたが、UWWはまだ決定していません。イランだけではなく、他のイスラム教の国でも、レスリングをやりたいけれど肌を露出するため、あきらめていた女性もいると思います。肌を露出しない試合着を認めてもらえれば、取り組む女性は増えると思います。イランにも、もっと多くの強豪選手が生まれると思います。
――今回の来日で福田富昭会長とも会われていますが、どんな話がありましたでしょうか。
パナヒーザデ 肌を完全に覆い隠すウェアと、その上から現在のシングレットを着るスタイルはどうか、と絵を見せて提案してくださいました。そうなったら、お互いにそのスタイルで闘うことになるでしょうから、オリンピックのスタイルとは微妙に違うレスリングになると思いますが、女子レスリングの普及を考えてくださっていることを感じました。とても感謝しています。