※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
キューバへ向かった(左から)文田健一郎、高橋昭五、太田忍、松本隆太郎監督
日本のキューバ遠征は16年ぶり。現地の協会とのコンタクトはとれているが、ホテルと大会スケジュール、試合会場以外は分からない状況。メール送信のため海外用のルータをレンタルしようとしたが、「通じるものはない」とのことで通信環境もよくないことが予想される。
松本監督が16年前に行った人に話を聞いたところ、電球1個の会場で試合をやったとか。同監督は「スペイン語はまったく話せないし、戸惑うことが多く、不測の事態は覚悟している。試合をして、無事に帰ってくれればいい」と覚悟を決めている。
しかし、「試合出場のあとは、短期間だが合宿練習もやってくれることになっているので、貴重な機会を生かしたい。リオデジャネイロ・オリンピックで2階級を制した国。独特の練習や技術があると思うので、学んできたい」と多くの収穫も期待している。
59kg級オリンピック王者のイスマイル・ボレロ・モリーナは「技の極めがすごい。腕取りとかでもきっちり決める。重点的に学んできたい」と言う。そのボレロが大会に出てくるかどうかは分からないが、「出てこない場合は、太田と文田が決勝で闘ってほしい。その場合はセコンドがいなくて困るけど、うれしい悲鳴をあげさせてほしい」と話した。
リオデジャネイロ・オリンピック銀メダリストの太田忍(ALSOK)は「ボレロとやりたい」と、オリンピック決勝のリベンジマッチに意欲十分。大会に出てこなくても、「練習はできると思う。(UWWがスタートしたオリンピック動画で)決勝を何回も見たけど、無茶苦茶強い。腕取りがすごい。でも、逆に腕取りいってやろうか、切って差してやろうか、とか考えています」と、打倒ボレロへの思いを話した。
ただし、「世界で勝つ前に国内で勝たないと」と、全日本選手権決勝で負けた後輩の文田健一郎(日体大)への雪辱も脳裏から離れないようだ。3月の欧州遠征には参加しないので、この冬はこれが唯一の大会出場になる見込み。
■3大会連続の国際大会制覇を目指す全日本王者・文田健一郎(日体大)
文田は「59kg級のオリンピック・チャンピオンがいる国。本人だけでなく、キューバの練習環境やトレーニング内容に接して自分のものにしてきたい。キューバの選手と試合したことはないです。パワフルと言うか、力強いレスリングという印象です。自分が目指しているスタイルなので、そのパワーの源を見つけてきたい」と抱負を話した。
昨年6月のピトラシンスキ国際大会(ポーランド)と11月のゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)で連続優勝し、国際大会での強さを見せている。しかし、「自信にはなっているけど、本当にその位置にいるかどうかは分からない」と慎重な姿勢。「もう『経験を積むのが目標』という時期は終わったと思う。結果を出したうえで、最終目標を目指さないと、次につながらない」と話し、大会での必勝を誓った。
66kg級の高橋昭五(日体大)は、今月初めの「デーブ・シュルツ国際大会」(米国)での銀メダル獲得に続く参戦。「アメリカはフリースタイルがメーンで、グレコローマンはそれほど高いレベルではなかった。キューバはオリンピック王者2人という王国。どんなレスリングをやるか楽しみ」とのこと。
「自分は海外での試合経験が少ない。海外での経験を積んでいかないと、太田先輩や文田のように海外で勝つことはできない。外国選手としっかりと肌を合わせてきたい」と言う。3月に予定されている全日本チームの欧州遠征も参加予定で、5月のアジア選手権(インド)も内々に出場を打診されており、受ける予定。今年の上半期は国際試合を重ね、6月の全日本選抜選手権(世界選手権代表選考会)へ挑む。
グレコローマンの試合は2月19日(日)と20日(月)に行われる。