※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 初めて決勝へ進出した自由ヶ丘学園(東京)
奥山恵二監督は「これまではベスト4が最高でした。初めての決勝で、少しは殻を破れました」と満足そう。自身の霞ヶ浦高時代の恩師、大澤友博監督が率いる日体大柏には、「勝つつもりで臨みましたが、まだ実力が伴わなかったです。点数は50点」と苦笑いを浮かべた。
同校のOBには2015年世界選手権・男子グレコローマン59kg級代表の田野倉翔太(日体大~クリナップ)がいることで知られている。これまで山崎達哉や長谷川敏裕(ともに日体大)など個人戦では全国チャンピオンも輩出してきた。
奥山恵二監督(左)と森川海舟
■スコアは完敗だったが、最後まで攻める姿勢があった決勝
昨年、1年生でインターハイ2位、国体王者となった森川海舟は、今大会の個人戦50kg級で初優勝を飾ったが、「学校対抗戦で決勝に進出した時の方が、何倍もうれしかった」と振り返る。
決勝戦、0-7とスコアは完敗だったが、全員が最後のブザーが鳴るまで攻める姿勢を崩さなかったのが印象的だった。奥山監督の「一方的にやられましたが、弱いなりに、あきらめずに最後まで向かっていくチームを作ってきた」という教えに加えて、後輩の応援にかけつけた田野倉先輩が「決勝に行ったんだから、欲を出して行こう!」とアドバイス。
森川は「確かに相手はチャンピオンだけど、最後まで攻める気持ちは忘れないようにしようと思った」と、全員が一致団結して王者と闘った。
大量リードされても、最後まで食らいついて得点につなげた84kg級の今村大地
レスリングの活躍が認められ、最近、練習場が1面から2面に増えたという。「これでまたお客様を迎えやすくなります」と、自由ヶ丘学園の“おもてなし度”がアップ。他校との活発な交流により、さらに力を付けていく予定だ。
今大会は部史上最高の成績を収めた。奥山監督は、「3月の全国大会はベスト8が最高で、まだ3位はありません。ひとつひとつ上がっていきたい」と初の表彰台を視野に入れた。