※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 学校対抗戦、個人戦とも圧勝の日体大柏(千葉)
学校対抗戦では初戦の修悠館(神奈川)を7-0で破り、2回戦の花咲徳栄(埼玉)がヤマ場だったが、花咲徳栄の重量級目玉選手、高校三冠王の石黒隼士や国体王者の吉田ケイワンが登場する前に、軽量級から白星を重ねて勝負を決めてしまった。準決勝の農林(山梨)にも6-1で圧勝し、決勝戦は自由ヶ丘学園(東京)相手に7-0と圧勝。
初優勝にもかかわらず、貫録十分なチームに仕上げてきた大沢友博監督。かつて築いた霞ヶ浦ばりの常勝軍団の強さが、創部2年目にして十分に感じられた。
レスリングの環境、指導陣、即戦力のスカウトと3拍子がそろい、一気に全国区の学校になった。そのため、懸念されるのは勝者にありがちな“おごり”だ。砂川航祐コーチは「インターハイで優勝して、満足してしまった選手はいました」と振り返る。しかし、「国体では成績が悪くて、選手だけでなく、コーチ陣も『しっかりしないといけない』と話し合って、再度チームを作り上げてきました」と振り返る。
個人戦55kg級は日体大柏の同門対決となった
■レギュラー争いが激しくなって、勝っても天狗になれない
もうひとつ、選手が天狗になれない理由がある。「人数が少なかったころはレギュラーメンバーが固定でしたが、今ではレギュラー争いも熾烈です。自分が出られるか分からないから、練習で結果を出さないと、という雰囲気が漂っています」(砂川コーチ)。
昨年50kg級の不動のレギュラーだった服部大虎は、成長期ということもあり、60kg級に上げた。そこには伊藤がレギュラーの定位置にいるため、学校対抗戦では控え選手に回った。重量級も昨年までは120kg級にプルブスレン・デレゲレバヤルがいたが、年齢制限の関係で引退。今季は、留学生のアビット・ハルーンが120kg級のレギュラーとなったが、学校対抗戦ではふがいない試合が続いて、決勝では交代させられてしまった。
短期間でチームをつくり上げた大沢友博監督(中央)と砂川航祐コーチ(セコンド)
個人戦も学校対抗戦同様の活躍だった。準々決勝あたりから、どのマットにも日体大柏のシングレットの姿があり、引率したコーチたちが目まぐるしくセコンドに就いていた。
個人戦の結果は、インターハイ55kg級王者の山口海輝、74kg級の井筒勇人、120kg級のアビット・ハルーンと3階級で優勝。2位が50kg級の谷口龍我、55kg級の谷口日向、60kg級の伊藤謙心、74kg級の奧井真吉、96kg級の宮本海渡(千葉・日体大柏1)の5選手だった。3位も含めるとさらに増える。
学校対抗戦も個人戦も日体大柏一色だった今大会。この勢いで3月の全国高校選抜大会(新潟市)も席巻するか。