2016.11.28

ゴールデンGP決勝大会出場の女子チームが帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 アゼルバイジャン・バクーで行われたゴールデンGP決勝大会で「金2・銀1・銅2」を取った女子チームが11月27日、成田空港に帰国した。

 成富利弘監督(東京・安部学院高教)は「どの選手もよく頑張った。負けた試合も、そう大きな差はなかった。ジュニアで実績を残してきた選手がシニアでも通じる力をつけつつあることを感じた」と振り返った。

 オリンピック後の大会ということで、例年のように一線級がずらりと顔をそろえていたわけではないが、「今は若手選手であっても、いずれ出てくる選手なので、今のうちにたたいておくことが必要。それができたと思う」と話す。「ステータスのある大会。ここでの優勝やメダル獲得は自信にしていい」と続けた。

 残念だったのは、58kg級に出場した元世界チャンピオンの浜田千穂(キッコーマン)が3位決定戦で敗れ、力を出し切れなかったこと。相手が“パンチ”のような張り手攻撃を仕掛けてきて、それに対応できなかったようだが、「外国選手はよくやってくること。のまれてはならない」と、気持ちで負けないことを望んだ。

 外国チームでは、75kg級が中国同士で決勝を争うなど、中国が2階級を制覇。「盛り返してきた。特に重量級は要注意。他にノルウェーとナイジェリアが優勝し、キューバが58kg級で2位に入るなど、いろんな国が出てきた」と、2020年へ向けて勢力も変わっていくことを予想。情報収集の必要性を口にした。

 国際大会で初優勝の53kg級の角谷萌々果(至学館大)は「優勝はうれしいですが、決勝で試合ができなかったので(不戦勝)、うれしさは今ひとつです」と、喜びの表情はなし。しかし、昨年世界5位のアゼルバイジャン選手に勝つなど、闘った試合は評価されるべきもの。「自分から攻めるレスリングができたのはよかったです。(優勝によって)以前よりは世界でやっていく自信がつきました。自分からローシングルは入れて、自分から攻められた」と振り返る。

 帰国してみると、全日本選手権のエントリー選手が発表されていた。「気持ちを全日本選手権向け、頑張りたい」と、今回の優勝を過去のものとし、次の目標へ向かって表情を引き締めた。

 69kg級の古市雅子(日大)は、2月のクリッパン女子国際大会(スウェーデン)に続いてのシニアの大会での優勝(その間に世界ジュニア選手権での優勝あり)。その大会では2014年世界選手権優勝のドイツ選手を破っているが、今回も初戦で2013年世界チャンピオンのアリナ・スタドニク・マキニヤ(ウクライナ)を破っての優勝となった。「緊張したけれど、やってみたら意外に闘えた。練習してきたことが出せました」と、この勝利で波に乗れたという。

 今回は69kg級での出場だったが、12月の全日本選手権からは75kg級での闘いを明らかにしている。「外国の75kg級の選手とは闘ったことがない。重さもパワーも違うと思うので、もっとパワーアップして闘っていきたい。今回学んだことを全日本選手権までしっかり練習して、優勝を目指します」と意気込んだ。


 ■48kg級2位・五十嵐未帆(至学館大)「去年も出させていただき(3位)、今年は優勝を目指していたので、決勝で負けたことは悔しいです。(オリンピック3位の中国選手は)力が強かった。脚は取れていて、相手より多くさわっていたと思うけど、そこからポイントにつなげることができませんでした。崩しが足りなかったと思う。全日本選手権は優勝が目標。だれが相手でも勝つしかありません」

 ■60kg級3位・伊藤彩香(東新住建)「準決勝で(昨年の)世界チャンピオンと当たる組み合わせ。優勝するつもりだったので、絶対に倒すという気持ちでした。何回か相手の脚を取ったりしましたが、返されたりしてポイントにつながらなかった。実力が足りないことが分かりました。ただ、世界チャンピオン相手に1点差の試合ができ、思った以上にやれたな、という気持ちもあります。メダルは取って帰らなければならなかったので、3位決定戦は自分から攻め、思い切り闘いました。今年は海外遠征を経験する機会に恵まれました。これを生かし、全日本選手権で頑張ります」

 ■63kg級3位・源平彩南(至学館大)「(今年はジュニアのアジア&世界選手権を制したが)ゴールデンGPはジュニアとはレベルが違いました。取らなければならないところで取り切れず、負けてしまいました。もっと練習を積まなければなりません。(オリンピックに出場した中国選手と1-2だが)それでは満足できません。もっと練習して、攻めのパターンをもっと増やして、自分から攻めて取りにいくことが必要です。(全日本選手権は伊藤彩香がこの階級に出場するが)…。勝ちたいです」