※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
大勢の報道陣が集まった3スタイルの合同合宿
リオデジャネイロ・オリンピック後に強化スタッフの一部が交代。男子グレコローマンと女子はそれぞれ1回ずつ全日本合宿をやったが、3スタイル合同は初。ゴールデンGP決勝大会(アゼルバイジャン)へ遠征しているコーチを除き、3スタイルのほぼ全コーチが集まった。いわば新体制の“出陣式”。
栄和人強化本部長は「一人ひとりがオリンピックの金メダルを目指し、高い目標に向かって頑張ることが東京オリンピックでの勝利につながる。各自で意識を高めてほしい」とあいさつ。リオデジャネイロ・オリンピックの男子は世界大会に初出場した2選手がメダルを取ったが、「そうあることではない。来年、さ来年の世界選手権で結果を出してほしい」と要望した。
このあと、全コーチが選手に対して東京オリンピックへ向けての熱き思いを伝えた。続いて来月10日(土)~11日(日)にハンガリー・ブダペストで行われる非オリンピック階級の世界選手権の日本代表が紹介され、各選手が大会へ向けての決意表明したあと、練習が開始された。
■持っているもののすべてを伝え、自分を超える選手を育てる…吉田沙保里コーチ
栄本部長は新体制のスタートを、「リオデジャネイロへ向けては、途中で(2013年12月)強化本部長に就任した。今回は最初から新体制でスタートすることになり、きのうあたりから緊張感に襲われた」と振り返り、コーチングスタッフについては「私をサポートしてくれるコーチと、(若くて)選手と肌を合わせて練習できるコーチをそろえ、万全の体制をつくった」と説明した。
笹山秀雄・女子強化委員長(左)とともに選手に鋭い目を向ける吉田沙保里コーチ
その吉田はコーチとして初の練習を終え、「複雑な感じです。がんがん行けばいいのか、教えることが必要なのか、など迷ってしまった」との第一声。ただ、これまでも自分の練習をやりつつ、後輩への技術指導もしていたので、大きな戸惑いではなかったようだ。
練習前に行われたコーチ会議は、「何をするのか分からず、ペンも持っていかなかった」と苦笑いし、コーチとしての顔になるまでもう少し時間がかかりそう。女子選手には女性にしか相談できないこともあるので、その面でも「頼られるコーチになりたい」と言う。
栄本部長の「すべてを伝えてほしい」という言葉には、「隠すつもりはない。自分の所属の選手でなくとも、技術を伝えたい。自分を超える選手を育てたい」と答えた。
合宿は27日まで行われ、世界選手権の代表は12月6日に出発する。
◎世界選手権代表の声
世界選手権代表選手の紹介と決意表明
■男子グレコローマン71kg級・梅野貴裕(愛媛県協会)「リオデジャネイロでは、太田(忍)君と樋口(黎)君が初めてでの世界大会であるにもかかわらず銀メダルを取ってきました。ボクも今回が初めての世界大会です。2人に負けないよう、いい色のメダルを取りたいと思います」
■男子グレコローマン80kg級・阪部創(自衛隊)「自分持っている力を出し切って、メダルを獲得してきます。頑張ります」
■女子55kg級・向田真優(至学館大)「一戦、一戦に集中し、金メダルを持って帰ってこられるように頑張ります」」
■女子60kg級・坂野結衣(日大)「自分のレスリングを精いっぱい出し切って優勝できるよう頑張ります」
※男子フリースタイル70kg級の多胡島伸佳(早大)は授業のため不参加
![]() ウォーミングアップの相手に吉田沙保里コーチを指名した樋口黎 |
![]() 6面マットをフルに使っての練習 |