2016.11.15

【全日本大学選手権・特集】3年ぶりの団体戦無冠に、「あきらめたら終わり。立て直します」…拓大・西口茂樹部長

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=樋口郁夫)

 全日本大学選手権の大学対抗得点で初日に山梨学院大と並んで1位だった拓大は、最終日に失速し、全日本大学グレコローマン選手権と同じ2位へ。3年ぶりに団体戦無冠となってしまった。

 8月までは西口茂樹部長と高谷惣亮コーチがオリンピックへ集中していたが、8月以降はチームの指導に戻り、秋の2大会での優勝を目指したが、実らなかった。

 西口部長は選手を責めることをせず、「125kg級の山本泰輝がボルチン・オレッグ相手に最初の30秒で1回必ず入って取る、という闘いができた。カウンターを恐れずに攻め、先制したあとはしっかり耐えるレスリングができた。最終的に負けてしまったが、進歩したし、これからも進歩すると思う」と高評価。少しずつだが闘いの姿勢ができてきたことを感じた収穫を挙げた。

 2012年ロンドン・オリンピックで金メダルを取った米満達弘選手(現自衛隊)が拓大時代、「返されるのが怖くて(タックルに)入れません」という姿勢を見せた時、「そんなことで、オリンピックで金メダルを取れるか!」と激怒したことがあった。「自分が育てた、なんて全く思っていないけど、あそこで怒ったからオリンピックでの金メダルがあると思う」と話し、カウンターを恐れることなく闘う姿勢の重要性を話した。

 チームについては「あきらめたら終わり。立て直します」と話し、前を向いたが、敗因のひとつに「山梨学院大の選手は『勝つ!』という意識が強かった。その気持ちの差」を挙げた。「勝ちたい」ではなく、「絶対に勝つんだ」という“精神力”の重要性を強調した。

 全日本コーチ(日本協会強化副本部長)の顔になり、「このくらいの大会で緊張して、弱気になって、どうするの。地元のオリンピックでの緊張はこんなものじゃない」と口にした。「新人戦に出る時から、『オレはオリンピックで金メダルを取るんだ』という強い気持ち、命がけの気持ちを持ってマットに上がらなければならないんだ」と続け、勝利への強い気持ちを選手に求めた。