※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
金メダル獲得選手。左から伊東克佳さん(フィギュアフォークラブ)、飯田瑞江さん(横須賀ジュニアクラブ)、岡田英雅さん(ワセダクラブ)
好成績の要因のひとつに、1984年ロサンゼルス・オリンピックのグレコローマン52kg級金メダリストの宮原厚次さん(同強化委員長)を監督にすえたことを挙げた。「技術を知っているだけに、アドバイスが最高」と、闘う選手の大きなパワーになったようだ。
選手サイドからの評判も上々。試合前の練習では真っ先にマットに立って選手を待っており、選手の気持ちはいやがおうでも盛り上がったという。オリンピック金メダリストということで外国チームからも注目され、次々と打ち込み練習を求められ、記念撮影をせがまれるなど、大会そのものの盛り上がりにも貢献した。
宮原監督は「ロシアとかの強豪も来ていて、大会が盛り上がった。金メダルを取った3選手は言うにおよばず、銀メダルの2人も金に等しい銀メダル。重量級も大きな差はなく、内容では押していた選手もいた」と選手の踏ん張りを評価。「ちょっとしたアドバイスを加えれば、もっと勝ちこんでいける」と続けた。
帰国した日本チーム
オリンピック金メダリストの参戦を目の当たりにして、感じるものがあったに違いない。
■急きょ不参加の勝目力也さんが支えた男子2選手の優勝
初出場で初優勝のB(41~45歳)69kg級の伊東克佳さん(フィギュアフォークラブ)は「優勝を狙っていて、内容より勝ちにこだわりました。だいたい思った通りの試合運びができましたが、反省点もあるので、今後の練習の糧としたい」と言う。3連覇に挑む予定が体調不良で不参加となった勝目力也さん(防衛大教)から世界のレベルを聞いており、十分に対策も練っていたこともよかったと振り返る。
今回は7月頃に出場を決め、準備期間は3ヶ月。来年参加するかどうかは未定だが、出る場合はもっと早くに決断し、「十分に練習を積んで連覇を目指したい」と言う。
メダル獲得選手
現地の昼間は日本の夜。「寝るのを惜しんでメールしてくれたみたいです。『寝てください』という返信に、『おまえが優勝することが一番の薬なんだよ』というメールが返ってきました。優勝できてよかった」と、最高の色のメダルを報告できたことがうれしそう。
過去3度の出場では優勝できなかった。「やっぱり悔しさがありました。Aの最後の年で優勝できたことはよかった。来年以降の弾みになります」と話した。
日本女子で初のベテランズ世界チャンピオンになったB(41〜45歳)53kg級の飯田瑞江さん(横須賀ジュニアクラブ)は、「女子初のチャンピオンということで、世界ベテランズの新たな扉を開けたと思います」ときっぱり。「周囲の皆さんのご理解とご協力があったのでポーランドに行くことができました。感謝の言葉しかありません。新たな課題が見つかりましたので、今後努力していきたい」と、来年以降の参戦を視野に入れ、大会を振り返った。