※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
《フリースタイル・女子/第1日終了現在トーナメント表》
成年・女子 | 57kg | 61kg | 65kg | 74kg | 86kg | 97kg | 125kg | 女子53kg |
少 年 | 50kg | 55kg | 60kg | 66kg | 74kg | 84kg | 96kg | 120kg |
東日本大震災の被災地に全国から選手が集結
成年男子は、昨年の世界選手権57kg級代表の高橋侑希(三重・ALSOK)や、リオデジャネイロ・オリンピック予選65kg代表の前田翔吾(福島・クリナップ)ら有望選手はおおむね勝ち上がったが、強豪選手が集まった65kg級では序盤から有望選手同士が激突し、明暗が分かれた。
昨年の世界選手権61kg級代表の鴨居正和(香川・自衛隊)は、2回戦でリオ・オリンピック予選代表の藤波勇飛(三重・山梨学院大)に敗れて上位進出はならなかった。
また61kg級の全日本選抜王者の有元伸悟(大阪・近大職)は、初戦で65kg級の学生王者、米澤圭(秋田・早大)に敗れ、全日本社会人選手権65kg級優勝の阿部宏隆(茨城・サコス)は、初戦で元全日本選抜王者の田中幸太郎(京都・阪神酒販)に敗れた。男子少年は、インターハイ王者や全国高校選抜王者など実績のある選手が多く勝ち上がった。
今回から女子が採用となり53kg級の1階級が行われた。男子と違って高校生も大学生以上のカテゴリーと一緒に闘った。北海道と広島以外の45都府県がエントリーし、本来は48kg級や55kg級の選手も多数参加。普段では見られない対戦カードが実現。試合は大いに盛り上がった。
全日本選抜選手権55kg級を制し、地元岩手県の期待がかかる菅原ひかりは圧倒的な強さで勝ち抜いたほか、6月の全日本選抜選手権で48kg級を初制覇した須崎優衣(千葉・安部学院高)や、53kg級全日本選抜2位の入江ななみ(福岡・九州共立大)などの有望選手がベスト8に進出した。
選手宣誓をした地元の左京昂亮選手と菅原ひかり選手
開会式では、山本正徳宮古市市長が「5年前の東日本大震災から思えば、やっとこの大会ができたと感無量で嬉しく思っています。大震災の際には、宮古市総合体育館は約6ヶ月にわたり、被災された方の避難所となりました。全国から多くのご支援をいただき、本日の開催に至っております。今大会は全国のみなさんに、宮古、岩手の感謝を表す機会だと思っております。心をこめて応援と運営をさせていただきたいと思います」と震災について触れながら歓迎の言葉を述べた。
上野三郎・岩手県協会会長も「(震災時は)全国からたくさんの支援をいただきました。町の復興も目に見える形で進み、こうして全国大会が開催されます。本当にありがとうございます。選手のみなさんは、培った練習の成果をマット上で100パーセント出し切ってください」と激励した。
選手宣誓をした左京昂亮選手は5年前の出来事に触れ、想いが詰まった内容を披露した。
「2011年3月11日、2時46分、大きな地震と津波が東北を襲いました。当時6年生だった私は、立ちはだかる自然の脅威になすすべもありませんでした。未曽有の大震災によって多くの尊い命が失われ、甚大な被害をうけ、これからの生活に不安を抱いていました。そんな時、全国の仲間たちから多大なる支援をいただきました。多くの方々が私たちを見守り支えてくれました。あの震災から5年が経ちます。今もまだ復興を続けている地域や当時の震災の傷が癒えていない方、仮設住宅の生活を余儀なくされている方も数多くいらっしゃいます。しかし私たちは前を向き、一歩一歩、歩いていきたいと思います。今日も明日も一生懸命前を向いて生きていきます」と結び、もう一人の選手宣誓者である菅原ひかりにバトンタッチ。
左京は初戦で敗れてしまったが、会場の人たちの心に残る宣誓文だった。
(文・撮影=増渕由気子)
![]() 日本協会・福田富昭会長のあいさつ |
![]() 宮古市の山本正徳市長のあいさつ |
![]() 地元出身の男子フリースタイル125kg級の金澤勝利は上位進出ならず(岩手=自衛隊) |
![]() 初実施の女子、最大の注目は48kg級全日本選抜チャンピオンの須崎優衣 |