2016.09.16

9・10東京六大学チャンピオンシップ…伝統の六大学が東日本をけん引する!

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文=明大スポーツ新聞部・小田切健太郎/撮影=同・谷山美海)


 9月10日、土曜日、明治大学生田キャンパス体育館にて第21回東京六大学チャンピオンシップが開催された。学生スポーツを古くからからけん引してきた東京六大学。早大、明大、法大、慶大、立大、東大の6校が戦うリーグ戦は、今年もその大会の意義を果たし幕を閉じた。

《順位表》
1位 早大(5勝0敗)
2位 明大(4勝1敗)
3位 法大(3勝2敗)
4位 慶大(2勝3敗)
5位 立大(1勝4敗)
6位 東大(0勝5敗)

■早大が圧勝で7連覇

 王者の牙城は高く厚かった。早大が7年連続、16回目の優勝を果たした。対5大学全40試合の中で、落とした試合はわずかに2試合。昨年は明大、法大と勝ち星で並び3校混戦となったが、過去を払拭するかのような圧巻の勝利劇だった。

 中でも、最優秀選手賞を獲得した山﨑弥十朗(早大)は、1年生ながら出場3試合を全てフォール勝ち。最終・明大戦では本来の74㎏級ではなく86㎏級での出場も、インカレ3位の大山博貴(明大)相手に勝利を収めた。下級生主体で挑んだ早大だったが、東日本リーグ戦3位の実力を見せつけた。

■一・二部所属校が対戦

 早大、明大、法大、慶大(2016年東日本学生リーグ戦の入れ替え戦にて45年ぶりに一部昇格を決めた)の一部リーグ所属校と、立大、東大の二部リーグ所属校が胸を合わせることに、この大会の大きな意味がある。明大の中出幹児監督は「やはり早大とは実力差はあるのかもしれない。でも、伝統ある大学同士が試合をして、ともに汗を流すことがレスリング人気の一歩に繋がるのではないか」と話す。

 二部所属の2校は全階級に選手が揃っていない。そのため、必然的に不戦敗試合がでてしまう。伝統の六大学同士で競う大会はレスリング以外にも多くあるが、ここまで実力差がある競技はそう多くはない。奇しくも、今年の六大戦が行われた日と同日に硬式野球のリーグ戦が開幕した。

 レスリングでも6校がしのぎを削り合う仲になれれば、それが競技人気の向上にもつながるだろう。

■独自のルールを採用…Tフォールなし、抽選による試合順

 この大会では、テクニカルフォールを採用しない。通常のルールでは10点差がついた時点で試合は終了となる。テクニカルフォールの適用により試合を終わらせてしまうと、この大会の設置意味でもある他大との交流、経験値を積むということができなくなってしまう。可能な限り試合を続行させたいという思いからこのルールを適用している。

 各階級が戦う団体戦だが、この大会では軽量級から試合を行うわけではない。東日本学生リーグ戦では、軽量級から順に試合を行う。そのため重量級の選手で試合が決まる場面が多いことや、各大学の階級実力分布により、試合前から流れが読めてしまうことが多かった。

 その問題を打破するべく取り入れられたのが「抽選」。両大学の代表者がBOX内の階級名が書かれた紙を交互に引き、順に出た階級から試合を行うという制度だ。

 この抽選制度、西日本学生リーグ戦ではすでに導入済みだ。例年、順位の大きな変動がない東日本学生リーグ戦においてこの制度が導入される意味は大きい。学生レスリング界に新たな風を吹き込むべく、伝統の六大学が率先していくことも忘れてはいない。
 
■引退後も交流できる場に

 競技を引退した後、学校を卒業した後にも交流の場となれるようになることも、この大会の目的だ。大学スポーツでは、卒業とともに競技から完全に離れてしまう人が多い。明大出身で、今大会の審判長を務めた早見龍馬氏はこう話す。「レスリングは他のスポーツに比べると、まだマイナー。引退して完全に辞めてしまう人が多い」。

 早見氏自身、卒業とともに競技者としては引退したものの、審判員としてこの大会の運営に携わっている。一人のOBとして、この大会に足を運ぶ人が増えれば、レスリング経験者たちの受け皿としても機能するだろう。

 リオデジャネイロ・オリンピックのメダルラッシュに沸いたこの夏。オリンピックは4年に1度だか、六大学チャンピオンシップは毎年開催されている。是非、来年は大会に足を運び、生でレスリングの迫力を感じ取って欲しい。

《優秀選手賞》
早大 山﨑弥十郎(1年)
明大 二ノ宮寛人(1年)
法大 飯田 陽  (1年)
慶大 山下心京 (2年)
立大 飯島大樹 (4年)
東大 佐藤優成 (2年)

法大の山崎幹太郎(2年=小諸高出身)

慶大の伊藤暉(4年=八千代松陰高出身)

立大の繁高主税(4年=広島国泰寺高出身)

東大の永井文彦(3年=駒場東邦高出身)