2016.09.08

全日本コーチ・選手も参加して学生選抜選手が合宿

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 8月に大阪で行われた全日本学生選手権の1~3位の選手を中心とした男子両スタイルの学生選手が9月7日、東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタート。全日本チームの選手やコーチも参加し、2020年東京オリンピックへ向けた最初の合同練習が行われた。

 7日は当初、10月26~30日にトルコ・チュルムで行われる世界大学選手権の代表決定トーナメントが全日本学生連盟の主催で行われる日で、そのあと10日まで強化合宿が予定されていた。トルコの政情が不安定なため、同選手権への派遣は取りやめたが、学生選手のレベルアップのため、合宿は予定通り実行へ。

 全日本学生連盟が全日本チームへコーチや選手の派遣を依頼し、社会人選手も加わって総勢80名程度の合宿となった。

 全日本学生連盟の藤沢信雄会長(大東大職)は「協会から学生と全日本選手との合同練習を要請されていた。東京オリンピックへ向けて(学生選手が)全日本選手と接し、切磋琢磨することで、メダルに近づくと思う」と、学生と全日本チームの合同合宿実現の効果を話す。

 リオデジャネイロ・オリンピックでは、学生の樋口黎(日体大)が銀メダルを獲得し、学生選手も世界で通用することを示してくれた。「大学生が世界でメダルを取るくらいになって、日本のレベルが上がっていく」と、参加した学生選手の中から来年以降の世界選手権でのメダルを獲得する選手の出現を期待した。

 同連盟の吉本収強化委員長(神奈川大職)は「リオデジャネイロ・オリンピックが終わり、東京オリンピックへ向けての第一歩。全日本チームの両スタイルの強化委員長に(コーチや選手の派遣を)お願いしたら、オリンピックのすぐあとにも関わらず快諾してくれた。全日本コーチからの指導は、大きな意識づけになる」と話す。

 世界大学選手権の派遣中止は残念だが、「選手の安全が大事だから仕方ない。気持ちを切り替えて国内で強化を続けたい。デーブ・シュルツ国際大会(米国)など代替遠征を考えているので、選手はそれを目指して頑張ってほしい。この中の選手が東京オリンピックを争う中核にならないといけない」と望んだ。

 全日本チームの田南部力コーチ(警視庁)は「男子で銀メダル2個を取ったけれど、必ずしも、いい結果、とは言えない。各スタイル2階級ずつしか出られなかったことをしっかりと受け止めなければならない。地元のオリンピックでは、各スタイルとも全6階級で出場しなければならない。それは、みんなの頑張りにかかっている」と選手に伝えた。

 合宿は10日まで。今後も土・日曜日を使って大学選手による合同合宿を予定しているという。


 ○…合宿には、リオデジャネイロ・オリンピックに出場した男子4選手のうち、グレコローマン66kg級に出場した最年長の井上智裕(三恵海運)の姿があった。リオデジャネイロでの自分の試合のあと、20日間はマットでの練習はやっていなかったが、岩手国体(10月7~10日)に出場するため、前日にマット復帰。この日は学生選手相手にかなり本格的に汗を流した。「1分間のスパーリングでばてましたよ」と笑う。

 国体で出場するのは71kg級。「周りは(自分を)オリンピアンと見るでしょうが、自分の中ではチャレンジャーとして、1から頑張っていくつもりです」とのこと。この合宿も、「学生選手に胸を貸す」ではなく、「ボクが学生選手の胸を借りて鍛えます」という気持ちでの参加だ。

 まだ4年後の東京オリンピックは見えておらず、「出る大会、1大会ごとに全力を尽くしたい」と言う。当面、国体の次は12月の全日本選手権への出場を予定している。「71kg級でしょうね。66kg級は自分の体に合っていなかった」と、自分にぴったりの階級に戻り、再度、日本一を目指す。


フリースタイル61kg級で1年生学生王者に輝いた成國大志(青山学院大)、この日はグレコローマンで松本隆太郎・日体大コーチに挑戦

練習の最後は大きな輪になっての補強トレーニング