※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
国内最後の合宿に入った高谷惣亮(右=ALSOK)と樋口黎(左=日体大)、中央は高谷大地(拓大)
6日は午前8時からリオデジャネイロ・オリンピックの開会式が行われ(現地時間は5日)、日本でも生中継された。朝食時だったので、各選手とも最初の部分は食堂などでテレビを見ていたそうだが、10時からのマットワークに合わせ、日本選手団の入場行進を見ることなくレスリング場へ移動。汗を流した。
井上謙二コーチ(自衛隊)は、練習にフル参加した57kg級の樋口黎(日体大)に関しては、「7月は高地トレーニングを中心に、追い込む練習を十分にやってきた。あとは技と体と気持ちをしっかり調整して臨むだけ」と評価。高谷は時に自衛隊に呼んで指導しており、「状態はよくなっている。やってきたことを信じてやって臨んでほしい」と、焦ることなく闘ってくれることを望んだ。
オリンピックは開幕したが、「正直言って、テレビで開会式を見るだけでは、実感が湧かないんですよね…」と言う。他競技の選手が続々とメダルを取れば気持ちも変わってくるかもしれないとのことだが、現地に行ってこそ気持ちが高揚するもの。「まだリラックスし、体のケアを十分にしてほしい」と言う。 筋力トレーニングに励む高谷
久しぶりの全日本合宿参加となった高谷は「2度目のオリンピック。前回のような浮いた(地に足がついていないような)気持ちはない」と、だてに経験を積んできてはいないことを強調。前回は、自分としては心をしっかり持っていたつもりだったが、周囲はそう見ていなかったそうで、「心のどこかに(不安定さが)あったのでしょうね」と言う。
けがのため、7月の2度の全日本合宿に参加できなかったが、「本番でしっかり闘えるように調整してきた」と、前進のための戦線離脱だったことを強調。「絶好調で試合に臨める選手なんていないと思う。ボクの場合は、アジア予選でもそうでしたが、どこか悪い方がいい闘いができている。ポジティブ(肯定的)に考えて、闘いたい」と話した。
オリンピック開会式のテレビは、「ちょっと見ただけ。あ~、やってるな、と思ったくらいです」という。「今から気持ちを高めるのは、どうですかね。早めに高めてしまうと、最後はばててしまいますよ」と話し、井上コーチと同じで、気持ちの高揚は現地に行ってからと考えているようだ。 オリンピック開会式を報じるニュースを見ながら心肺機能のアップに努める樋口
けがで十分なマスコミ対応ができなかった分、リオデジャネイロでだれよりもマスコミを集めてくれることが期待される。
7月の2度の高地合宿を経験した樋口は、「(空気が薄くて)きつかったけど、あれだけのことをやったことは自信になる」と振り返る。しかし、「調整は現地に入ってから。今回の合宿は、体重に気をつけて最後まで追い込む練習をやりたい」と、まだハードトレーニングは終わっていない。
体重調整に難がある、と言われるが、「落としさえすれば、試合で動けなかったことは一度もありません」と自信を見せる。昨年12月の全日本選手権や今年3月のアジア予選ではスムーズな減量ができたそうで、「今回もしっかりやります」ときっぱり。トータルで30時間近くになる移動には細心の注意を払いたいと言う。
8月11日まで合宿し、12日にリオデジャネイロへ向けて出発する。