※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 出場5年目で金メダル4個の東京・レッスルウィン
同クラブは6年前にスタートし、全国大会は4年前から出場し、2年前の2014年に初めて優勝者を輩出。その時は2人優勝で、昨年は1人優勝だった。今年は優勝者が4人となり、チーム別では4位タイに入る好成績だ。
金メダルだけではない。銀メダルと銅メダルも各4選手で、計12選手が入賞。その中には、永田監督の兄でプロレスラーの永田裕志さんの長男、永田裕生(1年21kg級=銀メダル)や、永田監督の長男、永田來駈(2年30kg級=銅メダル)も含まれており、永田家一族にとっても笑みがこぼれる結果だった。
永田監督は「こんなに勝ったことは今までにないです。チーム全体で勝ち取った結果です。オリンピックイヤーですし、最高の形で大会を終えることができました」と満面の笑みだった。
キッズレスリングの指導を始めて丸6年。キッズはフリースタイルが主流だが、永田監督の専門はグレコローマンだ。「グレコローマンも教えています。しっかりした構えに、組み合い、差し合い、投げ技も。レスリングにはグレコローマンもあることを子供たちに覚えてもらいたい。僕の持っている良さでもありますから」と指導にも熱が入る。
フリースタイルの細かい部分には、専大OBでアジア・ジュニア選手権3位の実績を持つ竹田展大コーチが全面的にバックアップしている。フリースタイルとグレコローマンのいいところを取り入れて練習を積み重ねた結果が、好成績につながったと言えよう。 昨年12月の全日本選手権で闘う永田克彦監督(赤)=撮影・矢吹建夫
永田監督は、指導者としてキッズから大学まで幅広く携わっていることで知られているが、昨年は現役復帰という大きな挑戦を成し遂げた。11年ぶりに全日本選手権に出場し、グレコローマン71kg級で若手を退けて優勝。42歳で戴冠し、男子の最年長優勝記録を更新した。
「思ったより体も動くからやってみようと思った」と挑戦した経緯を振り返るが、口で語るほど現役復帰は簡単ではなかったはず。永田監督自ら、自身に試練を課して乗り越えた姿も、子供たちに好影響を与えた可能性は高い。
永田監督は「日本で最高峰の大会で優勝して、最高の手本を見せることができたと思う。私の選手活動が、この子たちの刺激になってくれていたらうれしいです」と目を細めた。
今年は、全日本選手権と並ぶビッグマッチである全日本選抜選手権にはエントリーしなかった。今後の選手活動について聞いてみると、「リオデジャネイロ・オリンピックのグレコローマンは2階級しか(出場枠を)獲れなくて、寂しいし危機感もあります。刺激を与えるためにも…」と、心身ともに充実すれば、再びマットに上がって若手を“叱咤”する計画を匂わせた。
指導者、そして最年長現役王者として、永田克彦監督の活躍にますます目が離せなくなりそうだ。