2016.07.16

男子グレコローマン66kg級のオーストラリア代表がドーピング違反?

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 AP通信などが報じたところによると、オーストラリア・オリンピック委員会(AOC)は、レスリングの男子グレコローマン66kg級でリオデジャネイロ・オリンピック出場が予定されているビノド・クマールにドーピング違反があったとして、同国レスリング連盟にエントリーから外すよう求めた。AOCのホームページでは、すでに代表選手から名前が消えているという。

 同選手は4月のアフリカ・オセアニア予選で2位となり、オリンピックの出場枠を獲得していた。AOCはこの大会で、同選手が検体A、Bともに陽性反応を示したという(注=ドーピング検査は提出された検体を2本に取り分け、最初の分析に使うA検体で違反が疑われた場合、競技者の要求等によってB検体で再分析する)。

 ただし、何の禁止薬物かは明らかにしておらず、世界レスリング連盟(UWW)が5月の最終予選後に発表したドーピング違反者のリストにクマールは入っていない。

 クマールは、元はインド人。同国代表としてアジア大会や世界選手権に出場していた。2010年にオーストラリアに移住しており、2015年に帰化。オーストラリア代表となってオリンピック出場枠を獲得した。今回は30日以内に裁判所に不服を訴える権利を持っているという。

 UWWは、クマールがオリンピック出場を禁止されたとしても、他国選手の繰り上げで出場させることはせず、オーストラリアの次のランクの選手が代替出場することを提案しているという(注=ただし、正反対の報道もあり、情報が錯綜している)。

 「シドニー・モーニング・ハラルド」電子版は、クマールを指導しているコスチャ・エーマコビッチ・コーチのコメントを掲載。「ドイツでトレーニングをしているクマールは、とてもショックを受けている。彼は決して禁止薬物に手をつけてはない。私たちには有能な弁護士がいる」として、法廷へ持ち込む姿勢を示した。

 オーストラリアは今回のオリンピックで、男子フリースタイル2階級、男子グレコローマン2階級で出場枠を獲得。いずれも他国から帰化した選手だが、オセアニア最大の国がレスリングに力を入れた矢先の”バッド・ニュース”となった。