2016.07.12

アジア・カデット選手権(台湾)出場の日本チームが金メダル9個を持って帰国

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(取材・撮影=矢吹建夫)

 台湾・台中で行われたアジア・カデット選手権に出場した日本チームが7月11日、羽田空港着の日本航空で帰国した。日本チームは女子で7階級を制し、銀メダル3個、銅メダル5個を獲得する好成績。男子フリースタイルでも2年連続で2階級を制覇するなど奮戦した。

 しかし、原喜彦団長(新潟・新潟県央工高教)の口から最初に出てきたのは、男子グレコローマン選手の健闘。「グレコローマンを専門にやっている選手がいないのに、あれだけやれれば、これからに期待できます。伸びしろは十分です」と、今回出てきた結果ではなく、選手の踏ん張りを評価した。

 フリースタイルでは、キッズ、中学、インターハイなどのの上位に絡んでる選手がメダルを取っている事実を指摘し、「普段の所属の先生方の指導の一生懸命さがこの結果です」と感謝。田中哲平ドクター(スポーツ医科学委員会)や川道幸司トレーナー(スポーツ医科学委員会)らの尽力も「この結果につながっています。我々だけではこのような結果には出来なかったでしょう」と振り返った。

 大会初日は女子で銅メダル1個だけと不調だった。そこで、翌日からはウォームアップの時に「あまりいいやり方ではないが…」と前置きしつつ、選手で壁をつくってひとつのマットを占領して選手の気持ちを盛り上げる努力をしたという。「2日目から選手の気持ちが乗って、実力以上の力を出してくれました」と言う。

 技術的には、旧ソ連圏の選手は片足タックルの際に小手投げ、飛行機投げ、かわずがけなどを仕掛け、その技によって日本選手が失点するケースが多かったという。世界ジュニア選手権や世界カデット選手権、来年へ向けて十分に対策を練ってやれば、「もう1つ、2つはメダルが上乗せできると思います。各クラブの監督に報告します」と言う。


 ■男子フリースタイル・森岡敬志監督(福岡・三井高教)「ちびっ子出身の選手たちばかりなので安心した部分と、海外遠征が大半が初めてで心配するところがあった。入賞した選手たちは、試合に勝つという意気込みと勝利に対する執念があった。特に優勝の2人は、緊張していた部分もあったが、決勝では『絶対勝つんだ』という意識の元に自分のレスリングができていた。

 砂川(航祐)コーチが分かりやすくアドバイスをしてくれ、それに沿って選手がいい試合をしてくれた。この中から全国大会、さらにオリンピックに出てくれる選手が生まれてほしい。今後の選手たちの活躍を期待しています」

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 ■女子・成富利弘監督(東京・安部学院高教)「今回、選手に指示を出したのが『全員、勝って終わる』こと。選手はそういう点を意識して頑張ってくれた。ちびっ子の指導者が一生懸命にやってくれている成果が出て、我々がいい思いをさせてもらっている。感謝しています。日本の強みだと思います。

 チームの感じも良くて松雪成葉キャプテンが、こちらが言う前に率先して動いてくれ、非常に助かって心強かったです。しっかりしてきたなと思います。

 中国や北朝鮮がちびっ子をがんばっている国で、今回、北朝鮮に負けたりして安心はできないんですけど、今の状態を維持できれば、カデットの中では間違いなく日本がアジアトップだと思います。しかし、あぐらをかいていられない。これを1つの糧にしてもらい、次につなげてほしい。このまま上に伸びてもらって、ジュニアに上がって世界を取ってもらいたい」