※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
壮行会で力強く4連覇を宣言した吉田沙保里選手(赤ブレザー)。アントニオ猪木さんの音頭でカンショー(注・乾杯=完敗は不吉だから)した
日本選手団の主将や旗手と言えば最高の栄誉のようにも思われるが、責任が生じ、旗手なら開会式の時点で現地入りしている必要があるなど、行動に制約が出てくる。競技を第一に考える選手から固辞されることが多く、今回もなかなか決まらなかったのが現実。
吉田選手にJOCから打診があったのは6月30日。7月3日にはJOCの壮行会が予定されており、吉田選手が断ったら主将未定のまま壮行会という可能性もあった。
吉田選手は、8月5日の開会式の前に現地入りして自分の試合の18日まで現地に滞在する可能性も考え、即答はできなかったそうだが、主将は開会式の参加を義務付けられておらず、レスリングのスタートに合わせて日本を発てることが分かった。前回の旗手に続いての大役を引き受けた。
「しっかりしないとならない、という気持ちになりました」と、重責をエネルギーに変えて頑張る腹積もり。
最近、主将は金メダルを取れない、というジンクスがある。1996年アトランタ・オリンピックから前回まで、5大会連続で主将は金メダルを手にできなかった。吉田選手は「旗手の時もそう言われましたけど(自分は取った)、金メダルを取って、そのジンクスをなくします」ときっぱり宣言。ジンクスという“見えない敵”を笑い飛ばす強さを見せた。