※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(取材=保高幸子、増渕由気子) 金メダルを手にして帰国した伊調馨(ALSOK)
ポーランド女子オープンに出場した伊調は、今年1月のヤリギン国際大会(ロシア)で銀メダルに終わり、連勝記録がストップし、この大会が復帰戦。注目が集まった中、3試合に勝って優勝し、8月の本番に向けて弾みをつけた。
「オリンピックの2ヶ月前に試合に出たことは初めて。これがいいことなのか、悪いことなのか…(は分からないが)。目的だったヨーロッパの選手との試合ができ、刺激を受けたのはよかった」と話した。
同便で男子グレコローマン・チームも帰国。ピトラシンスキ国際大会でオリンピック代表の太田忍(ALSOK)を破って優勝した59kg級の文田健一郎(日体大)と66kg級3位の下山田培(日体大)も、伊調と同じ時間に空港に降り立った。 金メダルの文田健一郎(左=日体大)と銅メダルの下山田培(日体大)
自身の試合については、「結果を残せたので、有意義な遠征になりました。現地でオリンピック選手を間近で見て、実力だけではなく、コンディション作りも重要だと思いました。試合のほかにも、体重調整やアップ方法も見られて参考になりました」と振り返った。
マケドニア遠征から通じて約3週間の遠征となった男子フリースタイル・チームは午後7時すぎ、成田空港に帰国した。
■男子フリースタイル・和田貴広監督(国士舘大教)の話「他の国のオリンピック代表は精力的に大会に出ている。日本代表も試合間隔があきすぎないようにという目的の遠征でした。マケドニアの大会はレベル的には高くありませんでしたが、代表2人とも本人の形で試合ができ、試合勘が戻ったと言えると思います。
ポーランドでのハイレベルな大会と合宿をセットにすることで効果があったと思います。高谷も(ポーランドの大会を)出場させたかったのですが、減量もあり、体の不調もあったので大事をとって出場を見送りました。
高谷にも言えることではありますが、出場した樋口も技の種類が多い方ではなく、オリンピックのためには手の内を隠したほうがいいのではないかと話し合いましたが、樋口は若いですし、発展途上。オリンピックまでの2ヶ月でまだ成長できると思い、思い切って試合をさせました。今回の内容も成績も、オリンピック直前の試合としてはよいものだったと思います。自分の形で試合ができ、自信を持って日本に帰ることができたと思います」
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■男子グレコローマン・豊田雅俊監督(警視庁)の話「合宿では、目的だった対外国選手とのグラウンドでのデフェンスに関して、いい経験を積めたと思う。リオデジャネイロの代表選手の2人は合宿と試合で見つかった課題を克服し、オリンピックへ向けて残りの時間を有意義に使ってほしい。
試合数は少なかったが、他国のオリンピック代表選手の試合を間近で最終確認できたことは、オリンピックで必ず役立つと思う。
若手2人については思い切りのいい試合運びができ、実力を十分に発揮できた。オリンピック代表選手が出場する中で優勝(文田)および3位(下山田)になったことに自信を持ってほしい。2020年東京オリンピックに向けて貴重な経験を積めた。