※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 昨年までとは違った体育館で行われた今年の全国中学生選手権
全国中学生連盟の沼尻久会長は「これだけの多くの選手が集まり、非常にうれしいです」と満面の笑み。
600人の大台が見えてきたことについても言及し、「人数が増えることで運営面の課題は出てくるが、オープン参加方式は絶対に変えません。600人来ても800人来ても、この日程でやります。連盟はどんなに人数が増えてもウエルカムです。来年も多くの選手がエントリーすることを楽しみにしています」ときっぱり。
現在は4面マットで行っているが、人数が増えた場合はマット数や審判員を増やしてでもやり切る方針を示した。
■マットの「今」がわかる特大進行表を作成
男子の中軽量級では7試合を勝ち抜かないと優勝できない階級もあったが、森下敏清審判長による工夫を凝らした運営が功を奏して、全体的にスマートな進行が光った。 試合進行ボードとチャレンジ用の大画面
これまでは、森下審判長が試合を止めて、アリーナに居座る関係者たちをマイクで観客席に誘導する場面がよく見られたが、今回は1度もなかった。
大会中、選手関係者が一番知りたいのは、自分の試合があと何試合後なのかどうかだ。自分の試合が行われるマットの進行具合が気になるが、試合直前までマットサイドに近づけない代わり、マットサイドに特大サイズの試合番号表を掲示した。森下審判長は「すべて手作りです。台紙も4色に色分けして分かりやすくしました」とスムーズな試合進行のために工夫した一面を振り返った。
また、チャレンジ(ビデオチェック要求)の際に必要なビデオモニターを1面に2つ設置。チェアマン側とジャッジ側に設置したことで、以前より多くの観客がチャレンジ時に一緒に確認できるようになった点も好評だった。
■5年前の恩返し 熊本地震に約9万円の募金集まる 約9万円の義援金が集まり、熊本県代表の矢山裕明氏に渡された。
そんな被害に見舞われながらも、そのわずか3ヶ月後に全国中学生選手権はいつも通り水戸市で開催された。それができたのは、全国からの支援があったからに他ならない。今回はその恩返しとばかりに、沼尻会長の鶴の一声で、九州地方から参加した選手に伊調馨選手(ALSOK)のサインやリュックなど7団体から募った記念品を贈呈し、勇気づけた。
今年はリオデジャネイロ・オリンピックが行われる。4連覇がかかる伊調選手は、この大会に女子が始まった年の優勝選手(1999年)。伊調選手をはじめ、多くの選手がこの舞台で経験を積み、飛躍した。
オリンピックの登竜門とも言える全国中学生選手権の進化はまだまだ続く。
![]() 前年までと同じく、最優秀選手賞の副賞は自転車 |
![]() 得点ラケットの不足分は、うちわを改造して手作りで乗り切った こちらのほうが軽くて使いやすい!? |