※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 1年生王者の弓矢健人(三重・大安)と3年生で初タイトルの藤田颯(三重・光陵)
例年、1年生が主戦場となるのが38kg級。今年は2年生の田南部魁星(東京・浜川)が優勝するなど、上級生の活躍が目立ったが、弓矢はその一つ上の42kg級で、しかもノーシードで全7試合を勝ち抜く優勝だった。藤波俊一監督は「弓矢は、日体大で学生王者にまでなった弓矢コーチの息子さん。努力もしているがセンスもある。(息子の)勇飛も38kg級からの挑戦だったのに、42kg級で1年生チャンピオンは立派なもんだ」と褒め称えた。
弓矢自身は「(1年生チャンピオンの)自覚はあまりないです。みんながすごいって言ってるから、すごいんだと思います…」と、優勝した実感はまだ沸かない様子だった。決勝の相手は3年生の宇戸平莞爾(三重・久居)で、昨年のこの大会と全国中学生選抜大会ともに上位進出を果たしている実力者だ。
弓矢は「初めは負けるかと思いました」と振り返ったが、試合序盤に奪った4点タックルが決勝点となって優勝した。
1年生チャンピオンの肩書に、恥ずかしそうにしていた弓矢だったが、今後の目標について話題をふると「僕の先輩にも3連覇した選手がいる。3連覇目指して頑張りたい。今年は1年生で中学2冠を目指したいです」と、2011年に大会史上4人目の3連覇を達成し、いまや全日本のトップとしてオリンピックの世界予選にも出場した藤波先輩の記録に挑戦する姿勢を見せた。
■2人の強豪兄を持つ藤田は、初の全国タイトルを獲得
一方、53kg級で優勝した藤田は初めての全国タイトル獲得となった。「最後の全中で緊張したが、優勝できてうれしい」と笑顔を見せた。最大のヤマ場となったのは、準決勝の深田雄智(東京・大崎3年)で、小学校の全国大会で負けている相手だった。分が悪いことは分かっていたが、それを跳ね除けられたのは普段の練習で培った自信だった。
「負けていたけど、練習してきたタックルが取れた」と最大のライバルにリベンジ。藤田には兄が2人おり、長男は大学生、二男は高校でそれぞれ活躍している。それに続くような優勝だった。
「初の全国タイトルに夢がかなったか?」と問うと、藤田は「夢はオリンピックなんで、今回は次につながる優勝でした」ときっぱり。「タックル中心に、攻めまくって下がらないレスリングで勝ち続けたい」と目標を掲げていた。
![]() 決勝で闘う弓矢健人 |
![]() 決勝で勝った藤田颯 |