2016.06.14

【全国中学生選手権・特集】先輩の意地、階級の第一人者の意地見せた!…女子40kg級・櫻井つぐみ(高知・野市)

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

(文・撮影=増渕由気子)

 激戦階級を制して3連覇達成! 全国中学生選手権の」女子40kg級は櫻井つぐみ(高知・野市3年)が、決勝で昨年34kg級優勝の伊藤海(大阪・関大中2年)を4-2で破って優勝。2014年の須崎優衣(JOCエリートアカデミー)以来、女子7人目の大会3連覇を達成した。

 男女を通じて12人目の快挙に、櫻井は「試合はギリギリだったんですけど、最後にタックルを取って勝ち切れたのがよかった」と安堵の表情を浮かべた。3連覇の快挙はクラブチーム初であり、高知県初の記録にもなった。「3連覇できてうれしい。(コーチである)お父さんに対しては感謝の気持ちでいっぱいです」と話した。

 決勝の相手の伊藤は、小学生時代は全国少年少女大会で男子の部にエントリーして大会4連覇を飾るなど、その名をとどろかせていた。中学に入っても、昨年のこの大会で優勝して鮮烈デビューを果たし、秋の全国中学選抜大会では37kg級で優勝。階級アップも着実にこなして、櫻井と同じ40kg級に挑んできた。

  小学生時代に同階級で闘い、負けた過去もある櫻井は「中学生では初めての対戦。とても緊張していました」と試合を振り返った。

 決勝戦アクティブタイムを2度受けて得点できなかった櫻井が2点を追いかける展開になった。なかなか伊藤を攻略することができなかったが、前半に一度、伊藤の足を取れたことに勝機を見出していた櫻井は、後半、再び同じ技でアタック。ついに伊藤のバックを奪って逆転に成功した。

■“40kg級は自分の階級”との思いが年下選手を連破した

 強敵は伊藤海だけではなく、4月のジュニアクイーンズカップ中学生40kg級を制した1年生の藤波朱理(三重・西朝明)もいた。こちらも肩書十分のスーパールーキー。櫻井は準決勝で藤波、決勝で伊藤と闘う組み合わせとなり、3連覇の道のりは決して楽ではなかった。

 しかし、藤波は1年生で、伊藤は2年生。櫻井は「相手は年下だったし、(3年生の)プライドで勝てた」と、先輩の意地を見せての優勝だったようだ。

 先輩の意地に加え、櫻井が奮起した理由がもう一つあった。伊藤は春のジュニアクイーンズカップには37kg級に出場しており、今回さらに階級アップして臨んだ格好だ。対する櫻井は、昨年の全中を最後に昨秋の全中選抜大会から40kg級に出場して、半年以上のキャリアがある。

 驚異のライバルが名を連ねていても、「この階級は自分の階級なんだ。普通に自分のレスリングをしていれば勝てる」という信念でマットに上がり、勝利を引き寄せた。

 このあと、11月の全国中学生選抜大会で勝てば中学5冠となる。6冠の“グランドスラム”を目指せないのは、昨年40kg級で3位に終わってタイトルを逃してしまったからだ。「とても悔しかった」と、その負けをばねに、進化を誓って、4月のジュニアクイーンズカップカデットの部では負けた清水美海(京都・網野町少年教室)にリベンジ。今回は、中学に入って連勝街道を進んでいた伊藤にも黒星をつけた。

 中学最後の全国大会となる同大会は、階級を上げる予定。「優勝できるようにパワーをつけて臨みます。自分から攻めるレスリングをすれば5冠いけます!」と目標を掲げた。