※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 2季連続2位を土台に、飛躍を目指す中京学院大
昨年のレギュラーメンバーが多く残り、勝ち方を覚えた選手たちは、予選グループを危なげなく全勝で通過。2季連続で決勝の舞台に駒を進めた。相手は福岡大で、3連覇中だった同志社大を破ってAグループ1位を決めたチーム。
決勝戦の試合順は、抽選で70kg級、65kg級、125kg級、74kg級、86kg級、57kg級、61kg級となった。1番手の二宮虎明(70kg級)がテクニカルフォールで負け、2番手の加藤鷹希(65kg級)も2-8で押し切られて2連敗。スタートダッシュはかなわなかったが、3番手は昨季から重量級のエースとして試合経験を積んできた3年の藤田悠矢が登場。
予選リーグ全勝の藤田の相手は、1年生の執行優大が相手だったため、ここで1勝を返せるかと思われたが、終盤にタックルから失点してまさかの逆転負け。福岡大は4番手の74kg級から主力メンバーが登場するという布陣だったため、藤田が敗れた時点で、馬渕賢司監督は厳しい顔のまま、体が動かなくなってしまった。 第1試合からの4連敗に渋い表情の馬渕監督(右端)だが、秋季に巻き返しを期す
結局、中京学院大は5番手の86kg級まで全敗し、ストレートで優勝を逃してしまった。馬渕監督は「藤田が負けた時点でね…。情けない試合をした」と新エースに注文をつけ、「完敗です。福岡大がすべて一枚上でした。(福岡大は)昨シーズンも菅原翔太が出ていれば優勝する力はあったチーム。今回は菅原が戻ってきたので、強いと思っていた」と、福岡大の強さを認めた。
福岡大の菅原は、グレコローマンで全日本学生選手権3位入賞の実績を持つチームの主力。昨季は65kg級にエントリーして計量失格して出場がかなわなかった。今季はその65kg級に強豪高の館林(群馬)から川上直也が加入。この階級を後輩にまかせて74kg級に出場した経緯があり、軽量級の充実がチーム力を大幅にアップさせていた。
対する中京学院大は、決勝前にアクシデントがあった。馬渕監督は「65kg級の選手が、けがのため、決勝はやむなく2番手にチェンジすることになったんです。こちらは、57kg級、61kg級、125kg級を取って、65kg級で勝負させたかったんです」と本来の作戦を明かした。
それでも、57kg級、61kg級は勝って意地を見せただけに、次への手ごたえはつかんだ様子。「うちは、春はいつもこんなもの。そのかわり、秋はね…」と、最後はニヤリと不気味な笑顔を見せ、秋季の巻き返しを誓っていた。