※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
モンゴル・ウランバートルで行われたリオデジャネイロ・オリンピックの世界予選第1戦に出場した男子フリースタイル・チームが4月25日に帰国(男子グレコローマン・チームは23日に帰国)。栄和人強化本部長、和田貴広・男子フリースタイル強化委員長(国士舘大教)、この日に帰国した西口茂樹・男子グレコローマン強化委員長(拓大教)が今後の展望を語った。
男子グレコローマン・チームは、世界予選最終戦(5月6~8日、トルコ・イスタンブール)へ向け、この日から東京・味の素トレーニングセンターで合宿をスタートした。(取材=池田安祐美)
■栄和人・強化本部長「グレコローマンは、階級によっては行けそうな階級もあるけど、私が見たところ、ここでもう一ついけばどうにかなる、ここで我慢すればどうにかなるという瀬戸際のところで判断能力が欠けている選手がいた。フリースタイルの場合は、勝っているのにラストで逆転負けというのがあった。すべてを出さなければ負けという状況で、体力がなくなったら負けです。度胸が欠けていたような気がする。
両スタイル通じて、福田会長からは『度胸がないやつはダメなんだ』と叱咤されました。試合前、代表全員の前で「勇気をもって自分が仕掛けることが大切だ」と伝えたつもりだけど、それができていなかった。今大会は最低でも各スタイル1個ずつはほしかった。8階級で0ですから、気持ちを入れ直していかないと。トルコ(世界予選最終戦)の方が難しいかもしれないですからね」
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■和田貴広・男子フリースタイル強化委員長「ひとつ、できれば2つは出場枠を取りたいと思っていたけれど厳しかった。敗因は、強い選手がまだ残っていることと、日本選手が力を発揮できなかったという両面があります。
65kg級はまだ強い選手がたくさん残っていました。けれども前田(翔吾=クリナップ)はカザフスタンの選手に勝たなければならなかった。攻撃する力がなかったし、攻撃が続かず、攻撃するのも遅かった。練習の時にひざが曲がった状態で内側のじん帯がのびていた。それほど悪くはなかったようだが、それで技が思いっきり出せなかったんだろうと思います。
86kg級の松坂(誠應=日体大)と125kg級の山本(泰輝=拓大)の大学生メンバーは、経験が浅いのが敗因かなと思います。国内では自分の形で取れると思うけど、いろいろな展開に応じる技術と経験がない。どうしていいか分からなくて、いらないポイントをやってしまった。
97kg級の山口(剛=ブシロード)に関しては、実力を出したけど一歩及ばすという感じでしょう。アスタナ(アジア予選)でもそうですけど、実力は出しているので、次のトルコ・イスタンブールの最終予選も起用しようと思っています。
トルコでは全力でぶつかって闘うだけ。それをしっかりとやらせようと思います。そうすれば結果がついてくる。今大会、強いと思った選手が順当に抜けた感があった。トルコでは十分に闘えます」
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■西口茂樹・男子グレコローマン強化委員長「やることはやったが…(枠を獲れなかった)。25日からもう1回合宿して、あきらめない気持ちでトルコの最終予選に行きたい。全体的に、そんなに悪い試合じゃなかったが、かみ合わなかった。斎川哲克(98kg級=栃木・足利工高教)は自信がなかったように見えた。負けはしたが、徐々に上がっているので、あのイタリアの選手だったらもう1回やったら十分勝てると思う。
一番成績が良かった岡については、勝ちたい気持ちは十分わかるし、今大会に向けて1日3回練習を元木(康年)コーチと二人三脚でやってきた成果は出ていた。最後の3位決定戦は、もったいなかった。結果的に出場枠は0でしたが、十分にチャンスがある組み合わせだった」