※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
JOC杯2連覇の難波陽(青山学院大)
青学大が4階級で優勝したのは初めてで、男子グレコローマンでの3階級優勝は、2000年以来、16年ぶりのこと。一昨年から指導陣に加わった2012年ロンドン・オリンピック代表の長谷川恒平コーチ(同大学職)の指導の成果が、いよいよ芽を出してきた。
その中でリーダー的な立場となるのが、男子グレコローマン55kg級で2連覇を達成した難波。準決勝で11-9の勝利、決勝は昨年3位の丸山智行(山梨学院大)に4-0での勝利と、圧倒的な優勝ではなかったが、着実に白星を重ねて勝ち上がり、2年連続で世界ジュニア選手権(8月、フランス)への挑戦権を得た。
■世界一の胴タックルの持ち主、長谷川恒平コーチに学ぶ
「3年生ということもあり、やはり(勝ちを期待される)プレッシャーがあった。ホッとしています」と第一声を発した難波は、「大技もいいけど、勝つことを第一に闘った。(決勝も)苦戦という感じではなかった」と振り返る。長谷川コーチから重点的に教えてもらっている胴タックルを中心に、やってきたことを出せた大会だったという。
「勝って当たりまえ」のプレッシャーとの闘いは、練習環境を自分に言い聞かせることで克服してきた。長谷川コーチは、今年2月のハンガリー・グランプリでは、その1ヶ月半後にオリンピック出場を決めることになる太田忍(ALSOK=当時日体大)に勝利。全日本選手権では負けてしまったものの、トータル力では互角か、もしかしたら太田より強いかもしれない。 決勝で闘う難波(赤)
昨年の世界ジュニア選手権(ブラジル)は初戦でウズベキスタン選手にテクニカルフォール負けだった。「日本人とは違う面があり、その中で勝つことの難しさを学んだ」そうで、今年はその反省を克服し、長谷川コーチ仕込みの技を駆使して上位入賞を目指したいところだ。
■この勢いで東日本学生リーグ戦の好成績を目指す!
この春はチームに強豪新人が加わった。グレコローマンでは高校二冠王者に輝いた藤井(滋賀・栗東高卒=今大会優勝)、フリースタイルではインターハイ王者の成國太志(三重・いなべ総合学園高卒)、女子では世界カデット選手権3連覇の加賀田(東京・文化学園大杉並高卒=今大会優勝)などで、自身の優勝によって勢いづいているチームのムードに拍車がかかることが予想される。
グレコローマンの選手である難波に、来月の東日本学生リーグ戦(11~13日、東京・駒沢体育館)の出番があるかどうか分からないが、「やはり団体戦での勝利がほしい。一致団結し、このいい流れを持ち込みたい」と、自身の世界への飛躍の前に、チームとしての好成績を目指す。