※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文=樋口郁夫) 異国で栄冠を獲得したプレブスレン・デルゲルバヤル(千葉・柏日体)
デルゲルバヤルは他選手よりひと回り大きい恵まれた体を生かし、2回戦(初戦)から準々決勝の3試合はテクニカルフォールかフォールでの勝利。5試合のうち、ポイントを失ったのは準決勝の2点だけという圧勝優勝だった。
日本へ来てから1年が経ち、日本語も流ちょうになったデルゲルバヤルは「先生たちに『ありがとうございます』と言いたい。どの選手も強い選手だったけど、得意な差しがうまくいって勝つことができた。思い通りの試合ができた」とうれしそう。
自信は「あった」と言う。その自信の源を問われると、「たくさん練習したからです」と即答。柏日体から初の全国高校選抜チャンピオンということについては、「楽しいです」と表現し、うれしさを表した。
異国での生活も1年を越えたが、「みんなよくしてくれる。いい友達がいるので、寂しくはないです」と言う。それでも、この優勝を「モンゴルにいる両親に伝えたい。喜んでくれると思う」と笑顔を見せた。
セコンドにつく砂川航祐監督(左)
「自分の力を普通に出せば優勝は間違いない」と思っていた一方、全国大会の華やかさに慣れていないので、そのあたりのプレッシャーとどう闘うかがポイントだったという。優勝したこれからはもっと注目され、マークされるので、それを打ち破るには「もっと練習するしかないですね」と言う。
外国選手相手の指導は大変だったと思われるが、若いだけに日本語のマスターも早く、現在ではコミュニケーションはしっかり取れるようになっている。さほどの苦労はないという。
昨秋の国体王者誕生に続き、全国王者の誕生はチームの弾みになりそう。今大会の学校対抗戦は、けが人もいたため4階級しか出場できず、「1敗したら負け」という状況ながらベスト8へ食い込んだ。
4月から強豪の新入生が入ってくるのでかなり厚みを増しそうだが、120kg級に不動のエースがいれば、軽中量級の選手が安心して闘えるのは言うまでもない。「このまま力を伸ばしてくれれば、インターハイは(学校対抗戦の優勝を)狙えるチームだと思います」と、力強く言い切り、デルゲルバヤルの春夏連覇とともに学校対抗戦の優勝を視野に入れた。