※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
全階級のオリンピック出場が決まり、新たな出発を迎えた全日本女子チーム
栄和人強化本部長は「(渡利)璃穏が勝ってくれ、女子の全階級オリンピック出場を今回も続けることができた。予選でカザフスタンとモンゴルの選手の体を見た時、勝てるのかな、という気持ちだったが、積極的な攻撃をして勝ってくれた」と、カザフスタン決戦のもようを選手に報告。
「男子も4階級で出場枠を取った。コーチが選手の実力やその階級の状況をしっかり把握しており、やるべきことをしっかりやっていた。今回の遠征では、男女を含めたチームが勝利に向かってひとつにまとまったように感じた」と、チームジャパンが上昇ムードに乗っていることを話し、「厳しいことも言うが、この流れに乗って、全員が金メダルを取ることを目標に強化していきたい」と伝えた。
また、「ある競技」とぼかして具体的な競技名はあげなかったが、コーチ陣と選手との間に不協和音があると好成績を残せないことを強調。5年前のワールドカップで世界一になりながら、リオデジャネイロ・オリンピック出場を逃した女子サッカーのことを言っているのだと思われるが、「思ったことはすべて伝えてほしい。こちらの考えを一方的に押しつけることはしない。みんなのことを第一に考えてやっていく」と、一丸となってリオデジャネイロへ向かっていきたい気持ちを話した。
■25日に備える渡利璃穏と鈴木博恵
75kg級の日本代表は、出場枠を取った渡利と、世界7位、アジア女王などの実績のある鈴木との間で争われることが決まっており、25日の練習で両者のスパークリングが実現する。それまでは、ともにチームの練習とは別メニュー。この日は両者とも打ち込みなどをやり、スパーリングはやらなかった。 打ち込み練習をする鈴木(右)と渡利(左端)
全日本チャンピオンであり、出場枠を取ってきたことによるアドバンテージがあるのは明白だが、「安心していたらやられる。出場枠を取りに行った時の気持ちを持って闘います」と話した。
最後のチャンスにかける鈴木は「チャンスを与えてもらえたことに感謝したい。スパーリングできるようになって1ヶ月半。ひざは完ぺきな状態ではないけれど、悪くはない。やるしかない。思い切って頑張ります」と言う。
渡利がアジア予選の準決勝で闘ったオドンチメグ・バドラク(モンゴル)には2013年と昨年のアジア選手権で、決勝で闘ったグゼル・マニュロバ(カザフスタン)には2014年7月のゴールデンGP決勝大会で、それぞれ勝っている。温情で引き上げてもらったチャンスではなく、それだけの実力があるがゆえの抜てきだ。
「自分のすべてを出して試合に臨みます」と、“試合”という言葉を使って決戦へ挑む気持ちを表した。
![]() 通い参加を含めて約70選手が参加した練習 |
![]() 練習の最後は吉田沙保里(左)の号令のもとでの補強トレーニング |