※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
ロイター通信ほかが伝えたところによると、ロシアのレスリングが今年8月のリオデジャネイロ・オリンピックに出場しない可能性が出てきた。同国陸上界のドーピング問題にレスリング界もかかわっていた可能性が浮上。同国レスリング協会のミハイル・マミアシビリ会長は「ロシアからだれもリオデジャネイロへ行かないこともありうる」とコメントした。
ロシアは陸上で組織的なドーピング違反が発覚したが、つい最近、世界反ドーピング機関(WADA)が今年1月から禁止薬物に加えたメルドニウムに陸上選手4人が陽性反応を示した。このメルドニウムには、女子テニスのトップ選手、マリア・シャラポワ(ロシア)も陽性反応を示し、国際テニス連盟から暫定資格停止処分を受け、正式な処分を待っている状態。
ロシア・レスリング協会は、メルドニウムに対し、2014年世界選手権グレコローマン80kg級銀メダルで昨年の世界選手権にも出場したエフゲニー・サレーフと、昨年の世界ジュニア選手権グレコローマン120kg級2位のセルゲイ・セメノフの2選手から陽性反応が出たことを明らかにした。
他にも、代表チームだけでも10選手程度に陽性反応が確定する可能性があるもよう。ロシアのメディアは「女子には該当者はいない」と報じているが、ロシア協会はコメントしていない。
メルドニウムは不整脈などの治療に使われており、スタミナ増強の効果もあることから、兵士が体力向上のため服用しているという。ロシアのビタリ・ムトコ・スポーツ相はWADAに対して禁止の科学的根拠の明示を要望。ラトビアの製造元は「体内から完全に排出されるには数カ月を要する」と主張している一方、WADAは、「(禁止は今年1月からだが)昨年9月に禁止を公表しており、(陽性反応の)言い訳は認めない」との方針を示している。
陸上の組織的なドーピング違反とメルドニウム問題は全く別物、との見解もあるが、ドーピングをめぐる騒動の広がりで、ロシアのリオデジャネイロ・オリンピック出場が揺れていることは確かだ。