2016.03.20

【アジア予選・最終日】井上智裕が出場枠を獲得し、決勝でオリンピック王者を破る! 松本真也ら3選手は出場枠を逃す

※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。

 【カザフスタン・アスタナ、池田安佑美】リオデジャネイロ・オリンピックのアジア予選最終日は3月20日、カザフスタン・アスタナで男女6階級が行われ、男子グレコローマン66kg級の井上智裕(三恵海運)が出場枠を獲得した。

 決勝では2012年ロンドン・オリンピック60kg級王者で2014年世界選手権2位のオミド・ノルージ(イラン)を破り、国際大会初優勝を遂げた。他の男子3選手は出場枠を取れなかった。

 井上は初戦で北朝鮮選手に勝ち、準決勝でロシアから国籍を変えたマゴメド・チュハロフ(カザフスタン)と対戦。完全アウエーの中、グラウンド技を決めて2-1で勝利。決勝進出を決めて、リオデジャネイロ・オリンピックの代表に内定した。決勝は2014年世界王者相手に3-3の内容差で勝つ殊勲を挙げた。

 男子フリースタイル86kg級の松本真也(警視庁)は、初戦でタジキスタン選手をテクニカルフォールで破ったが、準決勝で地元のアスラン・カキーゼ(カザフスタン)に一歩及ばず、3-6で黒星。出場枠の獲得はならなかった。3位決定戦は不戦勝。

 男子グレコローマン96kg級の斎川哲克(栃木・足利工高教)と男子フリースタイル125kg級の山本泰輝(拓大)は、ともに初戦で敗れた。

 各選手の成績は下記の通り。この日で全日程が終了。日本は男子フリースタイル2階級、男子グレコローマン2階級、女子1階級の5階級で出場枠を獲得。すでに獲得していた女子5階級と合わせ、10階級でオリンピックへの道を開いた。


 ◎男子フリースタイル

 【86kg級】松本真也(警視庁)   3位=10選手出場

3決戦 ○[不戦勝]●Umidjon ISMANOV(ウズベキスタン)

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準決勝 ●[3-6]Aslan Kakhidze(カザフスタン)
 《試合経過》第1ピリオド1分20秒、松本は落とされてバックルを許したが、すぐにテークダウンを奪って2-2。さらにタックルを仕掛けたが、タックル返しで2失点。第2ピリオド、落とされてからバックに回られ2失点。終盤に1ポイント・コーションを奪うが、追いつけなかった。

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2回戦  ○[Tフォール、5:54=14-4]Bakhodur Kodirov(タジキスタン)
 《試合経過》第1ピリオド、松本がタックルで2点を先制。さらに、タックルからローリングにつなげて6-0。3本目のタックルはカウンター攻撃を受けて2失点。第2ピリオド、相手の変形タックルで2点を失い、6-4と追い上げられたが、後半、タックルが何度も出て14-4のテクニカルフォール勝ち。

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1回戦   BYE


 【125kg級】山本泰輝(拓大)   9位=11選手出場

2回戦 ●[フォール、0:28=0-4]Zhiwei Deng(中国)
 《試合経過》開始早々、山本は片足タックル。ポイントにはつながらなかったが、続いて両足タックル。しかし、体勢が崩れ、足をすくわれて一気に丸め込まれ、フォール負け。

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1回戦 BYE


 ◎男子グレコローマン

 【66kg級】井上智裕(三恵海運)    優勝=9選手出場

決勝 ○[3-3]Omid Noroozi(イラン)

 《試合経過》第1ピリオド1分40秒、井上がグラウンドのディフェンスに回る。強烈なグラウンド技をこらえて無失点で切り抜ける。2分半すぎ、井上にグラウンドの攻撃が与えられ、ローリングで2点。リードして折り返し。第2ピリオド4分半ごろ、ノルージに2度目のグラウンド選択権が与えられ1失点。さらにノーデンジャーのリフト技を受けて2失点。終盤に逆転を許してしまったが、井上はあきらめずにがぶってノルージを場外に出して1点を奪取。3-3のラストポイント差で勝利をもぎ取った。

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準決勝  〇[2-1]Magomed Chuhalov(カザフスタン)
 《試合経過》第1ピリオド、先にグラウンドの防御をしいられた井上は、相手の強烈なローリングをこらえた。第2ピリオド3分21秒、井上にグラウンドの攻撃権が与えられ、こん身の力でローリングを回して2-0。終盤、コーションを取られて1点を失ったが、グラウンドの防御できっちり守った井上が2-1で勝ち、オリンピック出場権を決めた。

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2回戦 ○[4-0]Pang Jin Chol(北朝鮮)
 《試合経過》第1ピリオド1分30秒、井上はグラウンドの攻撃権を得てローリングを2度回し、4-0とリード。2分30秒ころにグラウンドの防御に回ったが、無得点で切り抜けた。第2ピリオドもスタンドで押し負けず、4-0のスコアで終了。

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1回戦 BYE


 【98kg級】斎川哲克(栃木・足利工高教)    7位=11選手出場

1回戦 ●[5-7]Jahongir Turdiev(ウズベキスタン)
 《試合経過》第1ピリオド、斎川がスタンドから圧力をかけて相手を場外に押し倒したように見えたが、審判はウズベキスタンの1点を挙げた。斎川の勇み足。1分30秒、斎川がグラウンドの防御をしいられ、ローリングをこらえ切れずに2回転して4失点。終盤、場外ポイントで1点を返して1-5で折り返し。第2ピリオド、斎川にパーテールポジションの選択権が与えられ、スタンドを選択。斎川がラッシュで相手を押し出したが、またも勇み足で1失点。終盤、斎川はバックポイントとローリングで4点を奪い、あと1点で同点の状況へ。最後の数秒、相手が背中を向けて逃げたため、コーションではないかと日本陣営はチャレンジしたが認められなかった。