※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
次はオリンピックの表彰台! 見事優勝の樋口黎(日体大)
フリースタイルの最軽量級は、2004年アテネ大会で田南部力、2008年北京大会で松永共広、2012年ロンドン大会で湯元進一と3大会連続でメダルを獲得している。それだけに、オリンピックでメダル獲得が期待される。過去3大会の選手はいずれも20代後半とベテランの域に入ってからの活躍だったが、樋口は3人に比べて圧倒的に若い。
シニアでの経験が足りないという見方もある中、樋口は「ここまで来たら、キャリアとかは関係ない。誰が優勝するのか分からないのがオリンピック。若さを武器にしてリオでは闘っていきたい」と抱負を話した。確かに2012年ロンドン・オリンピックでは男子60kg級で19歳の金メダリストが誕生して話題を呼んだ。樋口の金メダル獲得も、夢物語の域ではないはずだ。
日本男子は、前年の世界選手権、そして2月のアジア選手権でメダルなしの屈辱を味わった。女子は変わらず成績がいいが、比べて男子は全然ダメと周囲の評価が耳に入ってくる毎日だった。でも、樋口は全く気にしてなかった。「僕は自己中な性格なので、そういうのは気にせずに、自分のレスリングをやってオリンピックの予選を勝ち抜きます」とさらりと言ってのけた。 オリンピック出場を決め、湯元健一コーチと抱擁
ただ減量の話になるとトーンダウンしてしまう。“偏食家”で、昨年6月の全日本選抜選手権では減量失敗で世界選手権をかけた闘いすらできなかった過去がある。「体重さえ落とせれば、絶対勝てると思った」と、今大会も最大の心配事は自分の体だった。
減量がきついため、本来の日程よりも1日早く、現地入り。今大会に向けてマルチサポートの恩恵を多分に受けたことで、恩返しができたとばかりに「オリンピックの出場枠が取れて満足しています」と笑顔を見せた。
1回戦、準決勝のオリンピックを決めた2試合は、いずれもタックルからグラウンドに持ちこんでアンクルホールドで瞬殺した。シニアでは樋口がニューフェースで、研究されていないからこそ、できることかもしれない。樋口は、5カ月後の本番に向けて「失点をしない能力は自信がある。今後は研究された相手からどうやってポイントを取っていくかが課題」と話した。
弱冠20歳の樋口が、リオデジャネイロ・オリンピックで台風の目となれるか!?