※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
【カザフスタン・アスタナ、文=池田安祐美】リオデジャネイロ・オリンピックのアジア予選は3月18日、カザフスタン・アスタナで開幕。男女6階級が行われ、男子4階級に出場した日本は、フリースタイル57kg級の樋口黎(日体大)、同74kg級の高谷惣亮(ALSOK)、グレコローマン59kg級の太田忍(日体大)の3階級でオリンピック出場枠を取った。樋口は優勝、高谷と太田は2位だった。
フリースタイル57kg級の樋口は、2試合をテクニカルフォールで勝って決勝へ進出。この時点で出場枠を獲得。決勝は2014年アジア大会3位のユン・ジュンシク (韓国)を4-0で下した。 アジア予選で優勝した樋口(左から2番目)
オリンピック2大会連続出場を目指す高谷は、右ひざの負傷を乗り越えて3試合を勝ち抜き決勝へ進んだ。準決勝では、4年前の同予選決勝で敗れているラシッド・クルバノフ(ウズベキスタン=2014アジア大会優勝)にリベンジしての勝利だった。決勝は負傷のため、途中棄権した。
グレコローマン59kg級の太田は、初戦で2012年ロンドン・オリンピック55kg級金メダリストで世界V7のハミド・スーリヤン(イラン)と激突。見事に撃破する金星を挙げるなどして3連勝した。決勝は2014年世界選手権8位のワン・ルミン(中国)に8-8の内容差で敗れた。
85kg級の岡太一(自衛隊)は、初戦で2014年アジア大会2位のリー・セイオル(韓国)に競り勝ったが、準決勝で2月のアジア選手権王者のヤナルベク・ケンイーフ(キルギス)にテクニカルフォールで敗れ、今大会での出場権獲得はならなかった。ファイナルセッションでは3位決定戦に回ったが、インドの選手に敗れて表彰台も逃した。
各選手の成績は下記の通り。
◎男子フリースタイル
【57kg級】樋口黎(日体大) 優勝=8選手出場
決勝 ○[4-0]Yun Junsik(韓国)
《試合経過》第1ピリオドの前半、韓国選手がアクティブタイムを受けて30秒で得点できなかっため、樋口が1点を先制。試合展開は互いに攻めきれない展開が続くが、第2ピリオドの4分40秒、タックルから場外ポイントにつなげて樋口が2点目を奪う。終盤にはタックルも決めて4-0と差を広げて優勝した。
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準決勝 〇[Tフォール、1:09=10-0]Rahul Balasaheb AWARE(インド)
《試合経過》第1ピリオドの45秒、樋口がタックルでテークダウン。連続アンクルホールドで一気に試合を決めた。
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1回戦 〇[Tフォール、1:01=10-0]Berdi Atabayev(トルクメニスタン)
《試合経過》樋口は第1ピリオドの開始早々タックルに入り、時間をかけてテークダウン。その後、アンクルホールドの体勢に入り、連続で決めて試合終了。
【74kg級】高谷惣亮(ALSOK) 2位=10選手出場
決勝 ●[途中棄権、0:25=0-1]Galymzhan Usserbayev(カザフスタン)
《試合経過》開始前から右足を引きずってる高谷。試合を開始するものの、わずか25秒で試合をストップ。ドクターらと協議して右ひざのけがを悪化させないために途中棄権を選んだ。
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準決勝 〇[4-2]Rashid Kurbanov(ウズベキスタン)
《試合経過》第1ピリオド1分過ぎ、高谷は左脚のけがを感じさせない動きでタックルを決めて2点。2分40秒すぎにもカウンターでバックを奪って4-0とリード。第2ピリオドの中盤、高谷が消極的だとコーションを取られて1失点。その後、アクティブタイムを課され、得点できずに、2コーション目を受ける。終盤のクルバノフの追い上げを振り切って4-2で勝利。
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2回戦 〇[Tフォール、3:55=16-6]Dovletmyrat Orazgylyjov(トルクメニスタン)
《試合経過》第1ピリオド、高谷がタックルを2本決めて4-0とリードするが、直後に一本背負いを受けて4失点。だが、動じずにバックポイントやカウンターで追加点。その後も失点を許すものの、3分すぎにバックポイントを奪ってから和田スペシャルの連続技で一気に突き放してテクニカルフォールを決めた。
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1回戦 ○[8-3]Lee Yunseok(韓国)
《試合経過》第1ピリオド、高谷は片足タックルで攻められて2失点。さらにタックルで場外に押し出されて1失点とリードを許したが、第2ピリオドに入ると、バックポイントからアンクルホールドで2+2点。さらにカウンター攻撃でバックポイント。ローリングも決めて逆転勝ちした。
◎男子グレコローマン
【59kg級】太田忍(日体大) 2位=10選手出場
決勝 ●[7-9]Lumin Wang(中国)
《試合経過》第1ピリオドの前半。太田がスタンドから1本背負いを強引にしかけるが、カウンターでバックポイントからニアフォールに持ちこまれ4失点。太田は2分すぎには胴タックルで2点。さらに胴タックルで逆転を狙ったが、うまく抑え込まれてしまい、4失点。2-8とされる。諦めない太田は、終盤にそり投げで4点を返し、さらに1点を追加する。ラスト30秒、攻めたてる太田だったが惜しくもタイムアップ。日本陣営は、太田のコントロールができているとチャレンジしたが、覆らず、7-9で終了した。
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準決勝 〇[Tフォール、5:36=10-2]Kim Seunghak(韓国)
《試合経過》先制は韓国。第1ピリオドの1分すぎにがぶり返しで太田から2点を取った。第2ピリオド、太田は、相手が前に出てきたところを合わせてそり投げで4点。がぶりがえしも決めて2点を追加した。終盤にもそり投げを決めて4点。10-2でテクニカルフォール勝ちし、オリンピック出場を決めた。
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2回戦 〇[8-4]Firuz Tukhtaev(ウズベキスタン)
《試合経過》太田は立ち上がり、相手の攻撃をかわせずバックを許してリフト技を決められる。投げはノーデンジャーのため2点になったが、4点のビハインド。太田は、第1ピリオドの終盤に胴タックルを決めたが、足を触ったと判定され0ポイント。第2ピリオド、太田は再び胴タックルを仕掛けて2点。ローリングにつなげて、さらにスタンドからがぶり返しも決めて一気に8点。8-4で逆転勝ちした。
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1回戦 ○[7-4]Hamid Mohammad Soryan(イラン)
《試合経過》スーリヤンが第1ピリオドの開始早々、スタンドから太田をコントロールしてバック。さらに投げ技で2点を追加。すかさず太田もバックポイント1点を返す。2分ごろ、太田が胴タックルで2点。スーリヤンの反則があり、2ポイント・コーションをもらって5-4と逆転。第2ピリオドも太田が中盤に一本背負いから崩してバックを奪い、7-4でオリンピック金メダリストに勝利した。
【85kg級】岡太一(自衛隊) 5位=8選手出場
3位決定戦 ●[1-6]Ravinder Khatri(インド)
《試合経過》先制された岡だったが、相手に消極的なあり、グラウンドの攻撃権を得るが得点ならず。第2ピリオドでは、相手を押し出してワンポイントコーションで1点を返すが、終盤立て続けにポイントを許して3位の表彰台を逃した。
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準決勝 ●[Tフォール、1:41=0-8]Zhanarbek Kenzheev(キルギス)
《試合経過》第1ピリオド、スタンドでプレッシャーをかけられ、パッシブを取られた岡は、パーテールポジションの防御へ。守り切れずにリフト技2回で6点。さらにローリングで2点を奪われ、0-8でテクニカルフォール負け。
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1回戦 ○[3-1]Lee Seyeol(韓国)
《試合経過》アジア大会2位のリーと対戦。岡が第1ピリオドの中盤に韓国のチャレンジ失敗で1点をもらう。第2ピリオド、岡が消極的とみなされ1点を失うが、終盤に相手が指をつかむ反則を犯してコーション。岡に2点が入って3-1で勝った。