※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
日体大から味の素トレーニングへ場所を移し、合宿を再開した男子グレコローマン・チーム
24日からこの日まで行われたフリースタイルの合宿同様、新品のマット特有の滑りやすさに十分に注意させての練習。西口茂樹・男子グレコローマン強化委員長(拓大教)は「勝てると信じてがんばろう」と選手に伝え、残り3週間を切った決戦へ向けて選手の気持ちを高めた。
同委員長は「日体大での合宿は20分連続でのスパーリングなど、ハードな練習が続いた。ここではマットを広く使い、最終的な強化練習をしたい」と話す。
2月中旬のアジア選手権(タイ・バンコク)では、一番手メンバーではなかったがメダルなしという惨敗。この影響が気になるところだが、「出る選手が『負ける』なんて思っていたら、勝てませんよ。『勝てないんじゃないかな』なんて思って練習しても駄目」と語気を強め、代表選手には勝つ気持ちに徹することを求めた。
勝負の世界に浮き沈みはつきもの。惨敗した時は、それでへこむのではなく、「見てろよ!という意地が一番必要だ」と言う。自身の現役時代にも、グレコローマン・チームの成績が悪い時もあったが、「なにくそ、という気持ちを持った」と言う。
アジア選手権の成績を見て、「『勝つことは厳しい』ではなく、『オレが日本を勝たせてやる』という気持ちを持つことが大事。コーチだけでなく、トレーニング、映像、栄養…、多くの人が勝たせるために尽力している。その人達を信じ、『勝てる』と信じて闘ってほしい」と強調した。 軽量級の期待を背負う66kg級の井上智裕(三恵海運)
旧74kg級から66kg級へ下げてオリンピック出場を目指してきた井上智裕(三恵海運)は「モチベーションは上がっている。あとは減量をしっかりやり、いかにいいコンディションをつくるかです」と、闘いの日を待っている。
2013年のアジア選手権(インド)74kg級で3位に入った実績を持っている。66kg級での出場となれば、減量面で大変だと思われるが、「大変なのは、体重より立場ですね」と言う。同年のアジア選手権は、ロンドン・オリンピック出場の夢かなわなかったあとで、「第一線は退き、好きなレスリングをもう少し続けられればいいな」くらいの気楽な気持ちでやって転がり込んできた銅メダルだった。「背負うものも、プレッシャーも何もなかった」と言う。
その後、再度オリンピックを目指すことを決め、激戦を勝ち抜いた今は、日本代表としての責任がずっしり。「負けることは許されない。内容より、結果を求めます」という気持ちとのこと。「試合で緊張しないタイプ。プレッシャーに負けたことは少ないです」と頼もしい言葉が出てきた。
「自分は出場しませんでしたが、去年の世界選手権(米国)と今回のアジア選手権の結果に悔しい思いを持っている。全日本の一員として、絶対に出場枠を取って帰ってきます」と。カザフスタン決戦へ向けての決意を話した。
合宿は4日まで行ったあと、7日からは両スタイルとも同所で最終の調整合宿を行い、カザフスタンへ向かう。
![]() 練習を指揮する豊田雅俊コーチ |
![]() そり投げに磨きをかける59kg級の太田忍(日体大) |
![]() 松本隆太郎コーチとスパーリングする75kg級の屋比久翔平(日体大)を、笹本睦コーチが指導する |
![]() 練習後は“栄養講座”。向こう側では若手選手がロープ登りを始めた |