※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
アジア選手権の代表を含めた選手が集まった男子の全日本合宿
■アジア選手権代表は後半から調整練習
男子フリースタイルは、3月のオリンピック・アジア予選(カザフスタン・アスタナ)に出場する選手もいて、全日本の一、二番手がそろった。今週前半はともに同じように練習し、後半、アジア選手権代表は調整に入るという。
和田貴広・男子フリースタイル強化委員長は「アスタナ(オリンピック・アジア予選)まで、あと40日。世界では、ヤリギン国際大会(ロシア)、ヤシャドク国際大会(トルコ)、ダン・コロフ国際大会(ブルガリア)などに、世界選手権のメダリストやオリンピックの出場枠をもっている国の選手が精力的に出場して強化している」と世界の動向を説明。
日本は体力づくりをテーマに国内で強化している。選手には「大事なのは集中力。打ち込みやスパーリングの一本一本、どれだけ気持ちをこめてできるかどうかが大切。内容にこだわらないとダメ。この打ち込みやスパーリングで、アスタナで勝てるのか、ロシアに勝てるのか、などを、ひとつひとつ確認してやってほしい」と、国内強化の意味を説明。あらためて意味のある練習を求めた。 松永共広コーチによる技術指導
松永共広コーチ(日本協会専任コーチ)は「ランニングや補強などの体力トレーニングの割合が多くなっているが、その中でも自分のレスリングを追求してほしい。トレーニングで疲れた、で終わってはならない」と、体力づくりとともに技術マスターも望んだ。
■若手の育成に重点を置く男子グレコローマン
男子グレコローマンは、一番手と二番手の一部の選手がハンガリー遠征で不在。アジア選手権の代表選手のほかは、全日本合宿に初参加か初参加に近い若手選手が多い顔ぶれとなった。
笹本睦コーチ(日本協会アシスタント・コーチ)は「アジア代表のうち、田野倉(翔太=59kg級)と金久保(武大=75kg級)には言うことはない。2人が若手を引っ張り、自覚を持たせてほしい」と要望。週末に行われたハンガリー・グランプリで、59kg級こそ日本が1、2位を独占したものの、他の階級は惨敗だったことを指摘し、「若手が一、二番手にプレッシャーを与えるよう実力をつけてほしい」と話し、アジア代表を含めた若手への奮起を求めた。 伝統維持へ燃える男子フリースタイル57kg級の樋口黎(日体大)
■フリースタイル伝統の階級で燃える樋口黎(日体大)
男子フリースタイル57kg級で初めて全日本王者となった樋口黎(日体大)は、大学の試験のため、合宿初日に参加したのは今回が初めて。「ジュニアやターゲット選手として全日本合宿に参加した時は、上の選手に当たりにいく立場だった。今は、一番手としてのプレッシャーはあります。でも、それがいい方向に出て、いいレスリングができています」と言う。
フリースタイルの最軽量級は、2004年アテネ・オリンピックから3大会連続でメダルを獲得している伝統の階級。そういう面でのプレッシャーもあるが、「まだ金メダルは取っていない。オリンピック出場枠を取る、ではなく、金メダルを目標にしてやっています。そうでなければ、勝つことはできない」ときっぱり。
その前提として、3月のアジア予選を突破しなければならない。アジアからはすでに4ヵ国がオリンピック出場枠を取っているので、「こんな大きなチャンスはない」と話し、40日後に迫った決戦へ燃えていた。
![]() オリンピック予選に挑むベテランの松本真也(警視庁) |
![]() 男子グレコローマンの技術指導をする笹本睦コーチ(日本協会専任コーチ) |