※本記事は日本レスリング協会公式サイトに掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 学校対抗戦2位の柏日体

5階級で臨んだ学校対抗戦のレギュラー全員が個人戦の表彰台に上がった。関東高校選抜大会のデビュー戦で、予想通りの強さを見せつけた。
■過去の実績では、柏日体が有利だった決勝だが…
初日の学校対抗戦では、2階級不在ながらも、周囲からは「初出場で初優勝だ」と言われ続けてきた。それもそのはず。柏日体を率いるのは、昨年まで高校レスリング界の雄・霞ヶ浦(茨城)を指揮していた大沢友博監督。外国人留学生や全国中学生チャンピオンをスカウトし、創部数年で全国制覇を視野に入れている。
大沢監督の右腕となるコーチには、元学生王者の砂川航祐コーチ。すでに現場は砂川コーチが切り盛りし、第1セコンドもこなした。初戦で、昨年のインターハイで初優勝を遂げた埼玉栄(埼玉)を破り、2回戦では砂川の母校でもある霞ヶ浦を破ってベスト4に進出した。
大量リードを奪っていた服部大虎だったが…
ところが50kg級の服部が8-0とリードを奪いながらもラスト十数秒で逆転フォール負けを喫し、66kg級の井筒も相手のタックルに屈して黒星。2階級が不戦敗のため、この2人が敗退した時点で4敗目となり、初出場初優勝の快挙はならなかった。
■3月の全国大会へ向け、ゼロからのやり直し!
砂川コーチは「初出場で準優勝おめでとうございます」との声に、「『ありがとうございます』と素直に言えない部分がある」と複雑な表情を浮かべた。「実力的には柏日体が上だと思っていましたが、あの負け方は油断そのもの。コーチの自分にも、生徒にも、気持ちがゆるんでいるところがあったのだと思う」と、厳しい現実を受け止めていた。
試合を見つめる砂川航祐コーチ(ベンチの左側)と大沢友博監督(右)
優勝できると見込んでいた学校対抗戦の決勝で敗れた瞬間、砂川コーチは8年前の自分を思い出した。「奇しくも今回の会場の佐倉市民体育館でした。僕が高1の時、花咲徳栄に逆転負けを喫して団体戦で優勝できませんでした。その悔しさをばねに練習を積みました。だから今回、なんとなく優勝してしまうより、ある意味、負けてよかったのかもしれない。生徒たちも、勝負の世界は甘くないと分かったはずです」-。
高校レスリング界は、いつまでも中学時代の肩書が通用する世界ではない。タイトルホルダーだった柏日体の生徒たち、そして砂川コーチも、3月末の初の全国選抜大会(新潟市)に向けて、ゼロからやり直すことを誓った大会だった。