※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子) 春季7位の屈辱をはね返し、一時は優勝の望みも見えた中京学院大
ファイナルでこそ同志社大に2-5で敗れて優勝を逃したが、第1試合の86kg級から3連敗したあと、70kg級の加藤直裕と61kg級の仁木陽介が同志社の勢いを断ち切ってチームスコア2-3と追い上げ、続く125kg級の藤田悠矢もリードを奪うなどして一時は中京学院大に流れが傾いたほどだった。
優勝した同志社大の三村和人コーチが「決勝は決して楽ではなく、苦しい戦いだった」と敵を賞賛したほどで、中京学院大が一枚岩となってリーグ戦を駆け抜けた証だった。
■ポイントゲッターを考えない“全員レスリング”で決勝進出
春の低迷にはやむを得ぬ事情があった。馬渕賢司監督は「主力メンバーで急きょ欠場した選手がいました」。ふたを開けてみると、やはり勝ち駒が足りず、気がついたら最下位を争う展開になっていた。
馬渕監督は「誰かに頼りすぎる試合をしていてはダメと思っていたが、学生たちには『主力メンバーが欠けた』と気落ちしている部分が正直あった」と敗因を分析。秋に向けては「学生たちに固定の4名が勝つという意識を捨てさせて、7人中の4名が勝つんだと、全員で4勝を目指すように指導してきた」と振り返る。 エースの負傷欠場の代役を立派にこなした125kg級の藤田悠也
いざ、試合を始めてみると半年間の馬渕イズムはしっかりと学生たちに伝わっていた。津田の代わりに125kg級に出場した2年の藤田悠矢が大活躍。予選リーグでは全勝と見事に津田の代役を果たした。エースとか柱とかは関係ない。主力中心の闘い方から、全員レスリングと一枚岩になって臨んだ結果がファイナル出場だった。
「雨降って(最下位になって)地が固まりましたね」と向けると、馬渕監督はニヤリ。来季、同志社大は主力がほとんど残るが、今季の中京学院大も4年生が2人だけという若手中心のメンバーで構成されており、津田の負傷で藤田の存在もアピールできるなど収穫が多くあった。
3季連続優勝を果たして連勝街道を走る同志社大。来春、同志社大の連勝記録にまったをかけるのは、今大会粘った中京学院大かもしれない。