※本記事は日本レスリング協会に掲載されていたものです。
(文・撮影=増渕由気子)
下馬評通りの優勝で3季連続優勝! 西日本学生秋季リーグ戦は、春季リーグ覇者の同志社大が実力を発揮。予選A組1位となり、優勝決定戦でB組1位の中京学院大を5-2で下して春夏連覇を遂げた。
階級 | 同志社大 | 結 果 | 中京学院大 | ![]() 2勝目をマークした65kg級の和智健悟 |
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86 | 榎本凌太 | ○ | TF10-0 | 廣瀬章吾 | ||
65 | 和智健悟 | ○ | 11-5 | 澤田勇希 | ||
70 | 田辺雄史 | ○ | TF10-0 | 二宮虎明 | ||
74 | 平野翼 | 6-7 | ○ | 加藤直裕 | ||
61 | 光永賢弘 | 5-6 | ○ | 仁木陽介 | ||
125 | 廣瀬郁也 | ○ | 3-2 | 藤田悠矢 | ||
57 | 萩本龍 | ○ | 6-6 | 吉田浩大 |
決勝戦は榎本凌太(埼玉・花咲徳栄高卒)、和智健悟(茨城・霞ヶ浦高卒)、田辺雄史(埼玉・花咲徳栄高卒)と、強豪高校出身のメンバーが前半に固まり、同志社にとってロケットスタートに追い風が吹く試合順(注=同リーグは抽選によって試合順が決まる)。 第6試合で優勝を決め、喜ぶ同志社大選手
今年は即戦力ルーキーの田辺が加入して厚みを増した同志社大だが、春に比べると学生たちの団結力がさらに磨かれた印象を持った。
その団結力は、マイナス要因の“副作用”から生まれたものだ。伝統校・同志社大の復活のために高校と掛け持ちしながら練習を見てきた三村和人コーチが、ゴールデンウイークあたりから京都・舞鶴で開催されるインターハイの準備に追われ、「練習を見ることができなかったのです」と大学の指導の時間をねん出できなくなってしまったのだ。
■「学生たちだけで勝ち取った優勝」と評価する三村コーチ
だが、選手たちはメーンコーチ不在をチームワークで乗り越えた。エースの榎本が中心となって練習に取り組み、春秋連覇に向けて準備。ライバル大学の戦力分析や予想オーダーも考えて、自分たちで勝負できるメンバーやオーダーを考えた。
三村コーチは「実は、私が考えていたオーダーと、学生たちの意見が同じではなかった」と振り返る。意見が異なったのは田辺の登録階級。三村コーチは65kg級での登録を見据えていたが、学生は74kg級をメーンとしての登録を希望した。 指3本を立てて3季連続優勝を表した同志社大
指導歴が長い三村コーチは、これまで京都の網野高や海洋高でレスリング部を作り、そこから数多くのチャンピオンを育てた。同志社大のコーチとしては、推薦枠がないため、強豪高のメンバーに声をかけ、受験勉強の面倒を見て合格させるところから“仕事”が始まる。そこから練習を見て強くさせるところまでが役割だった。
三村コーチは「これまでは選手の道を作り、そこを歩かせてきました。それが大人の役割だったから。けれども、今の同志社のメンバーは自分たちで道を作って歩けるようになった」。自身の努力が報われたかのような選手たちの成長に三村コーチはホッとした表情。「学生たちだけで勝ち取った優勝。ほんまよくやりました」。
来年は主力メンバーである榎本や和智が最終学年となる。「復活の礎となってくれた2人にとっては最後のシーズン。いい形で終わってほしい」。2年連続春秋制覇に向けて同志社大に死角なしか―。